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貴族の願いは何だろう

森竹高裕

　平安時代は貴族が我が世の春を謳歌し、日本独自の国風文化が発達した。その一方、貴族を支えた農民は貧窮にあえいでいた。まず初めは身近なモノから導入をした。

みんなが使っているお金の中に建物の絵が描かれたものがあります。何円玉でしょうか？（十円玉、とすぐに返事）この十円玉の建物は何という名前か調べてみよう。

　資料集をめくると間もなく
　・平等院鳳凰堂
であることがわかった。「この鳳凰という字『火の鳥』に出てきた字だ」の声があがる。手塚治虫の『火の鳥』を教室に置いてあるのだが、時間があると子どもたちはこの本に目を通している。

大仏と平等院鳳凰堂を比べてみよう。　

　時代が変わるときに視点を持たせて比べさせるとその違いがよく見えてくる。ここでは〈作った人〉〈誰のために〉〈作った人の願い〉の三つを調べた。

　上のような一覧表ができた。ここでよくわからなかったのが〈作った人の願い〉である。そこで

平等院を自分たちのために造った貴族がどんな暮らしをしていたか調べてみよう。

　教科書や資料集、インターネットを使って調べた。
　・お花見　　　・お月見　　　・占い
　・すごろく　　・囲碁

　こうして調べてみると働いているというより遊んでいる、という感じがする。

貴族たちはどんなことを思ったり願ったりしていると思いますか。

　貴族のしたことがわかると想いや願いも想像しやすくなる。
　・疲れることはしたくない。金は使い放題じゃ。
　・金持ちはいいなぁ。
　・毎日が楽しいなぁ。さて今日は何をしようか。
　・ほっほっほー。一生遊んでいたいのう。

　ここで農民の暮らしにも目を向けてみた。貴族のこうした華やかな生活は農民あってのものである。

貴族は遊んでばっかりいるようだけれど、汗水たらして働かなくていいのだろうか。

　全員が〈働いていない〉と考えた。

• 土地をあげていた代わりに食べ物をもらってる。自分は偉いと思っているから働いていないと思う。
• いろんな人に命令して作らせたりもらったりしていた。
• 農民に土地をあげる代わりに服をつくってもらったり食べ物をもらっていた。

　こうした予想を立てたので、山上憶良の「貧窮問答歌」を資料として見せた。これは当時の農民の生活の苦しさを詩に詠んだものである。しかし、文面だけではよくわからないので、この問答歌を絵で表したものを見せてイメージを膨らめた。

貧窮問答歌のサイト
http://www51.tok2.com/home/kimutoshi/sakuhin/hinkyuu.htm
　資料を読んで、想像図を書きました。解釈は、さまざまあるものの文字を、絵にするのは難しいものです。

貴族や農民の暮らしを知って思ったこと。

• 貴族の暮らしはとても幸せでした。農民の暮らしは、比べ物にならないくらい気の毒でした。そんな時代はすぐ終わってしまうと思いました。何か今とは違って暮らしが違いました。大変な暮らしで「お腹がすいたよ」って書いてありました。昔はそういうことをして悪くないないのか？と思いました。天皇さんは知っていたのか。
• 貴族はお金持ちなら大変な暮らしをしていた。農民たちを助けてあげればいいのに、逆に、農民たちを苦しめてかわいそうだった。なんで誰も止めないのかなと思った。かわいそうだと、思わなかったのか。
• 貴族の人々は農民に比べて裕福な暮らしをしているのに、まだ農民たちから何かもらうとしているなんて本当に自分勝手な人々だと思った。もし私が農民だったら、絶対何もやらない！！と言うけど、その時代にならやっぱり何かあげていると思う。