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各地のくらしと気候６

雪の重さを体感しよう

森竹高裕

　暖かい地方の次は寒い地方の暮らしを学ぶ。その中でも特に雪国を取り上げた。まず初めに尋ねたのは

雪国に住むのは得ですか？損ですか？

　得か？損か？というのは、ずいぶん乱暴な尋ね方であるが、こうすることで様々な視点が浮かび上がってくる。雪国の多面性を引き出すためにこんな発問をした。さて子どもたちの初めの考えは〈とく〉４人〈そん〉１０人であった。

〈とく〉４人

• 雪を使った遊びや行事ができるから
• 前テレビでやっていたけれど、雪の中に野菜を入れて冷蔵庫代わりにしていた。雪国でしかできないことだから。
• 雪祭りとか楽しい遊びができるから。
• 雪がないとできないお祭りとか行事があるから。

〈そん〉１０人

• 雪が積もるし時々屋根にたまった雪をおろさなくてはいけないから。
• 雪かきをしなくてはいけない。道路の雪をとる。
• 寒い。道が滑る。雪が増えてしまうといちいち雪かきをしなくてはいけない。
• 毎朝登校するときに歩きにくくて滑ったりしたら危ない。

今日は雪国のことをよく知ってもらうために、雪国からお客さんを招いています。

　　ここで新潟県安塚町から送ってもらったスノーマン（雪１５kg）に登場してもらった。安塚町は上越地方に位置する有数の豪雪地帯である。邪魔ものだった雪を逆転の発想で有効活用しまちづくりを進めている。この安塚町から送ってもらった雪を子どもたちに見せた。

　先日、スキー教室に行ったばかりだが、教室に雪が持ち込まれると「わー！」と子どもが群がってくる。雪を触ったり固めたりためてみたり嬉しそうだ。

みんな嬉しそうですね。これでも雪国に住むのは〈そん〉ですか？

と誘ってみたが、考えを変更する子はいなかった。「雪が積もるから」という声が多かったので、雪国の信号機や電話ボックスでさらに考えを深めることにした。

信号機や電話ボックスの写真を見てみよう。この辺のものと形が違うのはなぜだろう。証拠を写真から見つけよう。

　信号機は縦型、電話ボックスには屋根があり階段がついている。

〈信号機〉

• 雪がたくさん降ると縦型なら雪がたまらないけれど横型だと積もって
• 雪がいつ落ちてくるかわからないから。
• ランプのところに雪がいかないように、ひさしのようなものがある。
• 横型だとたくさん雪がたまるから縦にしたと思う。

〈電話ボックス）

• 雪が積もらないように屋根が三角。雪が積もっても階段で滑らないように手すりがついている。
• 階段は雪が積もってもドアが開かなくならないようについている。
• 大雪が降って、そこが埋まるから階段がついている。

　子どもたちは積もることには十分意識がいっていたが、重さには気づいていなかった。そこで

ちらちらと降ってくる雪は重いですか？　軽いですか？　（「軽い」の声）降ってくる雪は軽いのだから、わざわざ信号を縦にしたり電話ボックスに屋根をつける必要はないのではないですか？

　さすがに自然教室を体験した子どもたちだ。

• 雪が降って固まると重くなる。
• 信号機が重くて折れてしまうかもしれない

　と返事が返ってきた。そこでスノーマンで雪の重さを体感した。

スノーマンをひとりで持ってみよう。この大きさでもずっしりと重いでしょう。

　５０cm×３０cm×２０cmの雪だるまの形をした容器であるが、１５kgの重さがある。一人で持たせると「重い！」の声があがった。１立方ｍでは雪は３００kgになることも教えた。

この安塚町には雪が降る所です。今まで最高でどのくらい雪がつもったか紙テープで長さを見てみましょう。

　するすると伸ばす紙テープは軽く天上に届きそうだ。非常階段に出てみると３階〜４階の高さがあった。下から見上げた子どもたちは「すごい」と驚いている。雪国では、この雪を除雪して暮らさなくてはいけないことを話した。