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日本と朝鮮 5

  〜日本は謝罪するべきか〜

森竹高裕


これまで学習してきたことを振り返りながら、日本と朝鮮の将来について考える授業をした。まず黒板に「謝罪」と書き

「謝罪」この言葉の意味がわかりますか 

辞書を引き、【 謝罪:今まで犯した罪を認め、謝ること 】 であることを確認した。日本と韓国の間では、この「謝罪」という言葉が時々登場する。

日本と韓国の場合、どちらの国がどちらの国に謝るのだと思いますか?  

 ・日本が韓国に謝ると思う。
 全員がこう答えた。これを受けて次のように尋ねた。

現在の私たちは、朝鮮の人たちに謝罪するべきでしょうか。 (するべき・しなくてもいい) 

全員一致で < 謝罪すべき > で考えがまとまるかと思いきや、意見が対立た。

< 謝罪するべき > 26人→24人

< 謝罪しなくていい > 8人→10人

このように、様々な視点から意見が出された。そこで在日朝鮮人の人の考え(インターネット上にある掲示板より抜粋したもの)を配りもう一度考えてみた。



◆資料◆

       「私たちは朝鮮の人に謝罪するべきか」


【謝罪しなくてもいい】

(資料1)
こんにちは。Aです。
僕は謝罪要求なんて面倒くさい事を一度もしたことがありません。なんて事を言うとちょっと水を差す事になるかな?在日と括ると大雑把すぎるので、Bさんが実際に聞いた事のある在日著名人(おそらく)に限った問いかけにした方が良いと思います。でも本当に僕の周辺では聞いた事がないですよ、謝罪要求なんて。どうやって要求するんだろ?

(資料2)
「在日の謝罪要求」って何のことを言ってるんだろうと思いましたが(Aさんの反応は、まぁ在日の大多数が共有するでしょうね)酒席でのお友達の話なんですか?だったら、同じく酒席で、質問をお返しになったらいかがですか?

これは皮肉ではありません。文字どおり顔の見える関係の中で、互いの主張を語り合うことは非常に重要なことだと思います。

(資料3)
すっきり言ってしまうと、僕の日常生活では謝罪の必要性を感じていないので、謝罪がなくてもまったく問題がありません。僕が望む日韓関係の将来像はケンカの出来る関係です。


【謝罪するべき】

(資料4)
もし、天皇陛下の訪韓が実現するには、日本が韓国に公式に謝罪しなければいけないであろう。やはり韓国では今も、反日感情が根強い。訪韓が実現したら、韓国では反日デモが各地で行われ、日本のマスメディアはこぞって韓国よりの文章を書くことは火を見るよりも明らかなことだ。

(資料5)
「日本の近代は朝鮮半島の関わりなしには考えられない。いまも教科書問題でその評価が問題になっている日清・日露戦争だって、もともとは朝鮮の支配をめぐる争いだった。日本は朝鮮を植民地化し、土地を奪い、米を奪い、言葉を奪い、名前を奪い、やがては命まで奪った。民族そのものを無くしてしまおうとしたんだ。

朝鮮人は、こうした日本の支配に対する闘いの中からナショナリズムを形成した。義兵闘争から三・一独立運動、満州抗日ゲリラまで。逆に日本人の心に深く刻みつけられたのが、朝鮮人に対する蔑視、差別、恐怖感だ。この関係は敗戦と植民地解放以降も基本的に変わっていない。この隣人とどう和解し、対等な関係を築くか、日本人にとって最大のテーマであり、責任だと思う」


【これまでの謝罪について】

1965年の日韓協定で日本が拠出したのは5億ドル(政府無償贈与3億ドル+政府借款2億ドル)、民間借款を含めると8億ドル。

それに、「賠償」という文字がどこにも入っていないことからも分かる ように、これらの金はあくまで「経済協力」として出したもので、賠償 として支払った金など1ドルもない。

日本政府が朝鮮植民地支配に関して明確な謝罪をしたのは、1990年3月(サハリン残留韓国・朝鮮人問題に関する中山太郎外務大臣による謝罪答弁)が最初です。

これまでは、謝罪はしていない。交渉の過程で韓国側は謝罪を求めたけれど、日本側は最後までつっぱねている。


◆プリントの概要
< 謝罪すべき >
 ・韓国では今でも反日感情が強い。
 ・もともとは朝鮮の支配をめぐる争いだった。
 ・日本は土地を奪い、言葉を奪い、やがては命まで奪った。民族そのも
  のをなくそうとした。

< 謝罪しなくていい >
 ・私のまわりで謝罪要求なんて面倒くさいことを一度もしたことがない。
 ・大多数の在日朝鮮人の人が、謝罪要求は面倒くさいという考えに賛成できる。
 ・自分の日常生活の中で、謝罪の必要性を感じていない。

< これまでの謝罪について >
 ・日韓協定で拠出した5億ドルの中には「謝罪」という文字がどこにも入っていない。
 ・韓国は謝罪を求めたけれど、日本は最後まで突っぱねた。

この資料を見ながら、意見が出てきた。
< 謝罪すべき > 27人

< 謝罪しなくていい > 7人

このように2時間に渡って話し合ったが、結論が出なかった。最後に朝鮮学校のP先生に伺ったことを話した。

P先生はこうおっしゃいました。「謝罪するとかしないとかは、被害を受けた朝鮮の人が言うべきことで、日本人だけで話し合って、謝るとか謝らないとか決めるべきものではないと思います。もしこのことを話し合うのなら、先生の方で「謝る」という前提があって、話し合いを進めた方がいいと思います。


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