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日本と朝鮮 ４

　　〜日本にたくさんの朝鮮人がいるのはなぜか〜

森竹高裕

前回の授業で、日本には在日朝鮮人と言われる人たちがいることがわかった。知りたいこと・教えてもらいたいこととしてあげたものの中に「何でこんなにたくさんの人が日本に住んでいるのか」という疑問がたくさんあった。そこでこのことについて考えてみることにした。

日本にたくさんの朝鮮人が住んでいるのはなぜだろう。班ごと考えてみよう。　

一人だけで考えるのは難しかったので、班ごと相談しながら考えさせた。考えるヒントも与えることにした。

ヒント
　・戦争で日本が朝鮮を占領したこと。
　・日本に連れてこられた人がいること。
　　など。後半にあげる参考資料を活用した。

教科書や資料集を見ながら、児童は次のような予想を立てた。

このように過去の歴史的経緯があって、朝鮮の人が日本にいることがわかった。このような民族は朝鮮人だけではない。そのことについても少し触れた。

日本人で朝鮮に住み続けている人はほとんどいません。朝鮮の人たちは昔無理矢理に日本に連れてこられて、帰ることができなくなったのですね。朝鮮の人たちと同じように、自分の国に帰りたくても帰れなくなってしまった人たちがいます。

アメリカやヨーロッパ（フランスやイギリス）に住んでいる黒人の人たちは、先祖がアフリカから奴隷として連れてこられました。その子孫が今でもアメリカやヨーロッパに住んでいるのです。

日本人でアメリカやブラジルに住んでいる人たちは移民といって、自分から住みたくて行った人たちです。
　

注：授業ではこう説明したが、その後、わかったことを付け加える。

１．「強制連行」という表現については、慎重を期すること
　“文字通りの「強制連行」で日本に連れてこられた人たちの大部分は日本に帰り、それ以前に仕事を求めて渡日した人たちが中心になって日本に在留した、という一般的な傾向が認められると思う”　　「在日韓国・朝鮮人」福岡安則（中公新書）ｐ２２，２５，３２
　“最近は「強制連行」という用語が一般化しているが、それは1939〜41年の「募集」方式、1942〜43年の「官斡旋」方式、1944〜45年の「徴用」方式を包括するものである。”　　「在日からの視座」姜在彦（新幹社）ｐ７２

２．第二次大戦後、多くの朝鮮人が故郷に帰ったこと

日本敗戦直後に朝鮮半島に帰った人の数 1945年８月〜46年３月 　約１３０００００人　　　
1946年４月〜46年12月 ８２９００　　
１９４７年 ８７４３　　　
１９４８年 ２８２２　　　
１９４９年 ３４８２　　　
１９５０年 ２２９４　　　

「在日コリアン百年史」金賛汀（三五館）ｐ138


３．いったん帰国したが再び日本に戻ってきた人もいること
　“植民地から解放はされたとはいうものの、故郷では生活の手段を見つけることができなかったのです”　　「在日韓国・朝鮮人読本」ヤン・テホ（緑風出版）Ｐ７５
　“1946年４月から12月まで、帰国希望者に対する計画輸送がおこなわれたが、帰国熱がにわかに冷め、いったん帰国した引き揚げ者も再入国してくる現象がおこった。当時朝鮮は３８度線を境界として、南朝鮮にはアメリカ軍政が布かれ、1946年１０月の大邱を中心とする人民抗争が全域に広がり、険悪な政治情勢がかもしだされた”　　「在日からの視座」姜在彦（新幹社）ｐ７５

説明をすると「かわいそう」「ひどい」という声があがった。先ほどの話し合いの最中からある疑問を持った子がいた。その疑問を取り上げ

朝鮮人は差別されるのに、なぜ朝鮮に帰らないのだろう　

日本が嫌なら、朝鮮に帰ればいいのではないか？と一瞬思う。そのことにいて考えてみた。

< 帰りたくても帰れない >

このような思いから、朝鮮には帰れないのではないかと想像をした。生まれも育ちも日本であるから、今から朝鮮へ帰って生活することがどれほど大変であるか説明を加えた。「日本が嫌なら朝鮮へ帰れ」などとは決して言ってはいけない言葉なのです。最後に私がわかる範囲で、子どもたちの質問に答えた。

在日朝鮮人のことで、もっと知りたいこと・教えてほしいことがありますか。わかる範囲で答えます。

次のような質問が出された。
　・教科書に書いてある約70万人の他にも、日本に連れてこられた人はいるか？
　・静岡県や藤枝市には、在日朝鮮人の人が何人くらいいるか？
　・多い県や少ない県はどこか？

◆参考図書◆
「在日韓国・朝鮮人」福岡安則（中公新書）
「在日韓国・朝鮮人読本」ヤン・テホ（緑風出版）
「在日からの視座」姜在彦（新幹社）
「在日コリアン百年史」金賛汀（三五館）


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