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私が生まれてから１４　

　　〜るみちゃんパーティ〜

森竹高裕

　
「私が生まれてから」の授業の最終的なまとめとして、教室に赤ちゃんを招いてパーティーをおこなった。赤ちゃんの成長を祝い喜ぶ活動をしながら、自分たちもまた家族の人たちに大切に育てられていることに気づかせたかった。
　
前日に、子どもたちにＯさんの妹が来ることを予告しておいた。子どもたちはこれまで、この赤ちゃんにいろいろな形で係わってきた。お腹の大きなお母さんの絵を描かせてもらったり、赤ちゃんが無事に生まれてお祝いの手紙を書いたりしている。

Ｏさんの妹、るみちゃんが遊びに来るんだけれど、どんなことをしてあげようか。

　・拍手をしよう
　・「ママのそばで」を歌ってあげよう。
　・メリーゴーランドを飾ってあげたい
　・お人形さんを飾りたい。
　
このように楽しいアイディアが出された。話し合いをもとに、絵本の部屋（空き教室）を、まるでおとぎ話の世界のような素敵な部屋にして、るみちゃんを招待することにした。

るみちゃんが来たね。るみちゃんパーティーをしよう。

るみちゃんが教室の到着したので、「るみちゃーん」とみんなで声をかけて、教室に招き入れた。
　
到着後、音楽で習った「ママのそばで」を優しい歌声で歌うことができた。歌が終わると、るみちゃんが笑っている。この笑顔を見て、子どもたちも満足したようである。
　
歌が終わると子どもたちは、るみちゃんの周りに集まり、触ったり握手したりとつんつんしている。初めは笑っていたるみちゃんも、顔を歪めはじめたので、あわててさよならすることにした。
　
次に沐浴人形を取り出して、

みんなの家の人は、どうやって抱いてくれたのかな？人形でやってみよう。

　・ああ、重い。
　
沐浴人形を持たせてみた。重さが約３kgあるので、「重い」という声も聞こえてきた。ほとんどの子は両手で大事そうに赤ちゃん人形を抱いたり、座布団の布団に寝かせたりした。
　
しばらく抱いたあと

赤ちゃん抱くときに、どんなことに気をつけたらいいですか

　・落とさないようにする。
　・大事に抱っこする。
　
次に、親も自分たちを大切にしてくれたわけを考えた。

どうしてお家の人は、みんなのことをこんなに大事にしてくれたのでしょう。

　・まだ小さいから。
　・お母さんがせっかく生んでくれたから。
　・命や心があるから。
　 　
ここで親の子供を大切に思う気持ちを、実感を伴って十分広げることができたのではないだろうか。

Ｈくんのお母さんの声をテープで聞いてみよう。みんなのお母さんからの手紙を読んでみよう。

ここで、子どもたちが、病気や怪我をしたとき、お母さんはどんなことを考えていたのか、或るお母さんの声をテープによって聞かせた。テープが始まるとみなシーンとなって聞いていた。多分自分の経験とだぶって聞こえたのであろう。テープが終わると、我先にあんなことがあった、こんなことがあったと話をしてくれた。
　
最後に自分のお母さんからの手紙を読んだ。読んでいて涙が出てしまった子もいた。何度も何度も読み返していた。大切にアルバムにしまう子が多かった。「これ、宝物にするんだよ」とある子が私に教えてくれた。みな、お母さんの気持ちが胸に伝わったことだろう。