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私が生まれてから３

　 〜わたしの家族は12人？〜　　

森竹高裕

　
１年生は家族というものをどう捉えているのであろうか。１年生なりにつかんでいる「家族観」を知りたいと思い、面白い資料で子どもたちを揺さぶってみることにした。この資料はには、たくさんの人物が登場し、一見誰が家族かわからない。一人ずつ検討していくことで、家族についての定義がはっきりした。
　
まず資料を配付して、読み聞かせたあと、次のように指示した。

声を出してプリントを読みましょう。読んだら、線の引いてあるところを赤鉛筆で囲いましょう。

　　　　　「わたしのかぞくは十二人」　１年　かず子

わたしの　いえには、おとうさんと　おかあさんと、おとうとと　大がくに　いくために　いなかからきて　わたしの　いえに　とまっている　おねえさんと、おてつだいさんと　ときどき　いなかからやってくる　おばあさんと　いとこの　ゆうこさん（５さい）と　わたしが、います。
　そして、おとうさんの　しごとの　てつだいをする　おにいさんも　います。
　もうひとり、わたしのおにいさんが　いるのですが、だいがくに　いくために　よその　まちに　いっています。
　それから、ちびと、たろうもいます。ちー子もいましたが、このまえ　しにました。
　それで、わたしの　かぞくは　１２にんです。とても　おおくて　にぎやかです。
　ごはんは、なんかいも　わけて　たべます。わたしは　いつも　いちばんに　たべます。　

印をつけたところで

全部で家族は、何人いましたか？

　・１３人
　・ちー子は死んだんだから、１２人。
　・ゆうこさん、おばあさん、お手伝いさんがあやしい。違うよ。
　
初めは <１３人> と言っていた子たちも、その違いに気づいた。

では、家族って、どんな人たちのことを言うの？

こう尋ねると、教室がにぎやかになってきた。同じ家の中にいるだけの人は、家族とは言わないということを、それぞれの言葉で説明した。
　
　・一緒に住んでいる人。
　・お父さん、お母さんから生まれた人じゃないか。
　・仕事の手伝いをするおにいさんは、ちがう。
　・大学に行くために来ているおねえさんもちがう。 　
　
ちびとたろうが問題になったので、猫と犬であることを伝えた。

ちび（猫）とたろう（犬）も家族でしょうか？

＜猫も犬も家族＞
　・名字が同じだから、家族じゃないか。
　・犬や猫の名前は、あだ名なんじゃないの？
　　←　だって家の犬は、名前を呼ぶと返事をして、こっちへ来るよ。
　
動物は家族ではない、という結論がすぐに出るかと予想していたが、子どもたちは家族であるということにこだわった。多くの子が < 家族 > だと主張した。
　
意味的に家族とは、１．血縁　２．共同生活　３．金銭の出納が同じ　であることをいうが、子どもたちは「愛情」を家族の一番大切なものだと考えたようである。