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ヒトのからだ９

人体模型Ｔシャツを作ろう

森竹高裕

　この単元では、呼吸（肺）・消化（胃、腸）・血液（心臓）の働きについて学ぶ。個々の内容についてはそれぞれ知識として頭の中に入るのだが“では自分の体はどうなのか？”という生きた知識としては定着しにくい側面がある。
　そこで単元のまとめとして人体模型Ｔシャツを作りに取り組んだ。各自が白いＴシャツを持ち寄り、人体模型や図鑑を見ながら油性マジックで内蔵の絵を書き込んでいった。

人体模型Ｔシャツを作ろう。
　　・自分の体の位置に合うように内蔵をＴシャツに描きます。
　　・内蔵は心臓、肺、食道、肝臓、小腸、大腸を描きます。
　　・人体模型の内蔵パーツを触って、向きも正しく描きなさい。
　　・図鑑の絵をよく見て、内蔵の模様も描きましょう。

　この教材の価値は
　・本やパソコンだけの知識ではなく「自分の内蔵」を感じることができる。
　・内蔵模型を実際に手にして自分の体ではどこにあるか探ってみる。
　・できたＴシャツを着ると「なんか、キモ〜イ」

　白いＴシャツに内蔵の絵を描き色をつけるだけなのだが、子どもはいろいろな発見をする。Ｔシャツを着て心臓はどこにあるのか手を当て、肺の模型を手にして「このあたりかな？」胸のあたりに手を置いてみたり、肝臓を持って「これってどんな働きがあるの」「レバーってこんな形をしていたんだ」「肉のレバーもそうなの？」と、ブタと比べてみたり、腸を見て「迷路みたいだ」「ぐちゃぐちゃしていて、わけが分からない」「よくこんなものが中に詰まっているな」と声をあげている。

　本やパソコンを見るだけではこうした声があがることはない。実際に手にして、自分の体ではどこにあるのか探ってみることで、初めて自分にとっての知識になる。１時間かけてそれぞれ自分の人体模型Ｔシャツを作った。絵なのになぜか恥ずかしがっている。Ｔシャツができあがったところで

みんなで記念写真を撮ろう。

　できあがったＴシャツを着て、みんなで記念撮影です。
「今日は一日、人体模型Ｔシャツを着ていましょう」と声をかけると
「えー、やだぁ！」と大騒ぎ。

　家からはハンガーを持ってこさせ

できたＴシャツはハンガーにつるして、廊下に飾ろう。

　廊下に内臓Ｔシャツがズラーッと列び、廊下を歩く人がヘンな顔をして通り過ぎていく。ヒトの体のつくりについて楽しく学ぶことができた。

授業の感想を書こう。

• Ｔシャツを作っていて、心臓はいろんな模様があって心臓の下にもいろいろあってびっくりした。小腸がすごく曲りくねっていて、大腸と小腸がいっぱい詰まっていてびっくりした。いろいろな臓器の模型を見ていて、人の体はこれだけたくさんの物があって動くことができるんだなと思った。
• 今日これを書いていろいろな内蔵を知りました。七つの臓器を知りました。すべての臓器に一つ一つやることがあってすごいと思いました。それに、その臓器の場所も一つ一つわかりました。他にも内蔵などがあったら知りたいなと思いました。
• 普段は体の中の臓器の位置とかはどの辺にあるかとか考えないけど、今日は大きさとか位置を考えてみて結構大変でした。大きさとか位置とかがわからなくていろいろ考えました。
• ぼくはいろいろな器官の名前や正確な位置をぜんぜん知らなかったけど、実際に人体模型の中を見たりＴシャツに描いたりしたら、少しだけだけど名前や位置がわかった。あとＴシャツに描いてみたら、一つ一つにこんなにいっぱいの機能がついていることにびっくりした。
• 全ての臓器に一つ一つやることがあってすごいと思いました。他にも内蔵があったら知りたいなぁと思いました。
• 改めて見てみたら自分の体の中にもぎっしり内蔵が詰まっていた。この奧にも内蔵が詰まっていたら、それも見てみたい。
• 腸は何のためとか体の中のことについて少しわかったような気がしました。体の中にはこんなにもいろいろな仕組みがあって、細かいのから大きいのまでいろいろありました。

　とっても楽しい授業になった。また思っていた以上に、子どもたちが学んでいるのがわかる。ヒトの体のすばらしさを自然と感じ感動しているのが、とても嬉しかった。