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水よう液の性質２

アルミはどこへ行ってしまったのか？

森竹高裕

　塩酸の中にアルミの金属片を入れると、泡を出してブクブクした。しばらく経つと激しく泡立ち、触るととても熱くなっていた。そして１日経つと試験管は、何事もなかったかのように透明なままとなった。この一連の出来事を見て、子どもたちはいろいろな疑問を持ったようだ。

アルミのなくなった試験管をみて疑問に思ったこと

〈熱に関すること〉
　・なぜ暖かくなったのか。

〈溶け方関すること〉
　・なぜ同じ塩酸なのにアルミが溶けるものと溶けないものがあるのか。

〈色に関すること〉
　・なぜアルミが溶けたあと、黄色く色が変わったのか。
　・なぜ泡が出て灰色だったのに、あとで透明になったのか。

〈アルミに関すること〉
　・溶けたアルミはどうなったのか。
　・溶けたアルミはどこへ行ったのか。

　子どもたちに「アルミはどうなったと思う？」と聞くと「溶けたんだと思う」と素直な返事が返ってきた。そこで、この疑問についてみんなで考えることにした。

溶けたアルミはどこへいったんだろう。 　（液の中・泡と一緒に外に出ていった）　

　この問いには全員が〈液の中にある〉と考えた。どうしそう思うのか、班で相談をした。初めて見る現象について考えるのであるから難しいのだが、がんばって考えることができた。　

• 試験管の中に黄色があるのは、金属があるからだと思う。
• 溶けたなら水溶液の中にそのままあると思う。アルミが溶けたから色がついた。
• カレーを溶かした時に、ルーの形はなくなるけれど、水に溶けて味はしっかりある。アルミも溶けて形はなくなるけれど、その中にあると思う。

　この発言は体験にもとづいたすばらしい発表であった。そこで、

アルミが溶けたかどうかを調べる方法を考えよう。

　初めは考えにくそうだったが、５年生の時に「ものの溶けかた」の学習で、食塩を蒸発させたことを思い出させると「あっ」と閃いたようだ。

　・アルミを入れた塩酸をあぶる。
　・水１００ｇにアルミを入れたとしたら、その重さと同じ塩酸の１００ｃｃの重さを測る。

　アルミを溶かした塩酸を蒸発させていくと、しだいに白い粉が出てきた。すっかり蒸発すると、皿には塩のような粉が残っている。このことは一体何なのだろうか。自分の考えつく方法で粉の様子を観察することにした。子どもたちがとった方法は

　・虫眼鏡で見る
　・顕微鏡で大きくして見る
　・ピンセットで色いろ触ってみる
　・何も溶かしていない塩酸を溶かし二つを比べる
　・粉のところに電気を通して豆電球がつくか

などだった。よく観察してから

塩酸にアルミは溶けていたのだろうか。　（とけていた・とけていない）　　

　ほとんどの子が〈溶けていた〉と考えた。その理由は、

• アルミを入れた塩酸をあぶったら、粉みたいなのが出てきてて、アルミだったものが粉になってすごかった。
• 火であぶったり蒸発されたら、パチパチ飛んできた。何も溶かしていない塩酸は何も残らなかった。
• 出てきた粉をピンセットで触ったらサラサラしていた。時間が経つと、だんだん溶けてきた。顕微鏡で見たらボコボコなっていた。

　こうして、ほとんどの子が〈溶けていた〉と考えるのだが、迷っている子どもがいた。

• 顕微鏡で見ると、白くて灰色のアルミっぽくない。アルミらしくない粉はどこから来たのか。アルミそのものではないみたいだ。だから〈溶けている〉ではないみたい。
• 白い粉のところに電気を通したら、アルミは通すのに、白い粉は豆電球が光らなかった。

　この粉は果たしてアルミなのだろうか。子どもたちはどう考え実証するのだろうか。子どもたちは、次のような思いを持って授業を終えた。
　・残った粉はアルミみたいだけれど、アルミではなさそう。