秋が深まってきた。宮沢賢治の「いちょうの実」を子どもたちに紹介した。藤棚の下で目の前にあるイチョウの木を見つめながら読みきかせた。ギンナンが落ちて子どもたちは「臭い、臭い」と大騒ぎをしていた木である。先日はギンナンをレンジではざして食べてみたところ半分以上の子が「おいしい」と言って口にした。
この日取り上げたのは「いちょうの実」宮沢賢治は、ギンナンをおっかさんの子どもに例えて何とも優しい目差しをギンナンに送っている。イチョウのおっかさんから生まれた千人の黄金色の子どもたち。不安を覚えながらも互いに励まし合って北風に乗って旅立っていくという話である。
読み終えたあと「ギンナンの子どもたちが見えるかな？」と尋ねると背伸びをしてギンナンの実を探していた。嫌われ者のギンナンも見方を変えれば、かわいらしいいとおしい存在になる。
（大上段に構えて恐縮なのですが）教育って、こうした見方・視点・発想を変えてやり、違ったものの見方や考え方があるのだよと教えることが大切なのではないかと思った。
