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わらぐつの中の神様２

わらぐつの見方の違い

森竹高裕

　おばあちゃんのわらぐつに対する見方、マサエのわらぐつに対する見方は全く違ったものである。ものの外見を大切に考えるマサエとものの本質を大切に考えるおばあちゃんの見方は対立したものである。この二人の対立についてみていくことにした。

一の場面では、「おばあさん」「マサエ」「お母さん」が登場しています。誰がなんと言っているのか印をつけましょう。おばあさん：赤、マサエ：青、お母さん：黄色で色をつけます。

　このように、登場人物が何と言っているのかを明らかにした後で、わらぐつに対して何と言っているか調べることにした。

　一の場面で「おばあさん」「マサエ」がわらぐつについてなんと言っているでしょうか。わらぐつについて言っている文に線を引きましょう。

　おばあさんは、「わらぐつはいいもんだ」マサエは「わらぐつはかっこう悪い」という意味のことを言っている。

　おばあさん：あったかい、軽い、すべらない、神様がいる。
　　　　　　↑
　　　　　　↓
　マサエ　　：かっこ悪い、はいている人がいない、金具がはまらない
そんなの迷信でしょ、みったぐない

おばあちゃんとマサエの話を聞いて、わかったこと・思ったこと・考えたことは何ですか。

　子どもたちも、このマサエとおばあちゃんの対立にすぐに気づいた。

・おばあちゃんは、マサエにわらぐつはいいと言ってマサエにはいてもらおうと思っているけれど、マサエはわらぐつなんてみっともないと言っては　　こうとしない。
・おばあちゃんはわらぐつが好きでいい思い出がある。だからわらぐつをすすめるのだと思う。でもわらぐつは誰もはいていない。
・おばあちゃんはまじめな顔になって、めがねを外してマサエにそのわらぐつの中の神様の話をマサエに教えてあげたかったんじゃないのかなと思い　ます。
・おばあちゃんはわらぐつをいいものと思っているけれど、マサエはわらぐつなんてはいたらみっともないと考えている。

　さて、このように対立が明らかになったところで次のように尋ねた。

　あなたはマサエとおばあちゃんのどちらを応援しますか

　もっとわかりやすくして、「あなたが家の人にわらぐつ（わらじ）をはいて行きなさい」と、すすめられたらはいていきますか」というと一斉に「えー！」の声「そんなの絶対に無理」という声があがった。

< マサエ（学校にはいていけない） >　２７人
　・みんながはいていればいいけど、はいてないからイヤ。
　・みんなはいていないから目立っちゃう
　・洋服に合わない
　・ひとりだけはイヤ。みんなに馬鹿にされる。
　・かっこ悪い
< おばあちゃん（学校にはいていける） >　７人
　・別に恥ずかしくない
　・わらぐつと暖かいんだからはいてみたい

　このように圧倒的多数で、マサエを支持する子どもが多かった。その理由もマサエと同じである。「格好悪い」「みっともない」などである。そんな中で一人だけマサエ→おばあちゃんに意見を変えようか迷っている子がいた。

・おばあちゃんはマサエに恥をかかせようと思っていっているのではなく、　親切な気持ちから言っているのだと思う。別にふざけて言ってるわけでは　ないのだから、わらぐつもいいと思う。でも自分がはくとなると・・・・

　と正直な胸の内をあかしてくれた。どちらが正しいと決めることはできないので、ここまで話し合いをして終えた。すると翌日「ぼくは別に恥ずかしくないから」とＳくんがわらじを履いてきたとのこと。よくもまあ、長い道のりをわらじで歩いてきたもんだと感心するやらあきれるやら。「でもやっぱりくつ箱に入れておくのは恥ずかしかったから教室に持ってきた」というのがおかしい。