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　言葉の強弱

〜強調する言葉〜　　

森竹高裕

　文を読むときに、強めて読む言葉を変えることによって、相手に伝わる意味や気持ちが違ってくることを学習した。教科書にある３つの文で、太字部分を強く読んだ。

(1) 昨日、川田君と　駅で　あったよ
(2) 昨日、川田君と　駅で　あったよ
(3) 昨日、川田君と　駅で　あったよ

(1)(2)(3)は、それぞれ何のことを相手に伝えたいのですか

　実際に声を出して文を読んでいるので、すぐにわかったようである。

　・(1)は「昨日」行ったということ
　・(2)は「川田君と」会ったことを伝えてたくて、別の他の人ではないこと
　・(3)は出会った場所が「駅」だということを伝えたいと思う。

　これと同じような例がもう一つあったので、強く読むところに注意しながら、読んでみた。下線（強調する部分）が引いていないところは、消え入りそうな声なのに、下線のところになると、急に元気に声になった。

今やったように、ある言葉を強めて発音することで、相手に伝える意味や気持ちが変わってくるのです。だから、どこを強くするかを考えながら、読んだり話したりすることは、大切です ね。

　次に、プリントを配った。いずれも前教材「お母さんの木」から抜粋したものである。どこを強調して読んだらいいかを考えさせた。

言葉の強弱

あなたなら、どこを強めて読みますか？強める場所に線を引きなさい。

Ａ：「今だから言うよ。お前が、お国のためにお役に立てて、うれしいなんて、本当なものか」
Ｂ：「とうとう、日本中が不幸せになってしもうたのう」
Ｃ：「今では、もう、むすこたちみんなを帰してと、いのることもできん」
Ｄ：「けど、一人でいいに、一人だけでいいに、どうぞ返して下されや」
Ｅ：「何も、おまえたちのせいではないぞえ」
Ｆ：「日本中の父さんや母さんが弱かったんじゃ」
Ｇ：「けれど、だれ一人帰ってこないで、一年が過ぎた」
Ｈ：「今では、古くなったきりの木は、あらかた切られてしもうたが、くるみの木は、りっぱに育って、毎年、丸いおいしい実をたくさんつける」
Ｉ：「おばあちゃんがしてくれたように、私は、もう二度とおまえたちのためのきりの木を、植えたくはないのだよ」

あなたなら、どこを強めて読みますか？強める場所を教えてください。

　子どもたちが強調するとしたのは、次の箇所であった。

Ａ：今だから言うよ　本当なものか
Ｂ：日本中が不幸せに　なってしもうたのう
Ｃ：むすこたちみんなを　返して　いのることもできん
Ｄ：一人でいいに、一人だけでいいに
Ｅ：何も　おまえたちのせい
Ｆ：父さんや母さんが　弱かったんじゃ
Ｇ：だれ一人　帰ってこないで
Ｈ：あらかた切られてしもうた　毎年丸いおいしい実をたくさんつける
Ｉ：もう二度と　お前たちのためのきりの木

を強調すると考えた子が多かった。最後に、例文を黒板に書いて尋ねた。

　「森竹先生は、足が長くて、頭がよくて、顔がいいけれど、ずっこけた先生です」の文は、どこを強調して読んだらいいでしょう。

　黒板を見ながら子どもたちはニヤニヤしている。「では、強調して読んでみましょう」と促すと、やっぱり「ずっこけた」を１０倍ほど強調して読んでいた。