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群読を楽しもう ５

はやくちうた

森竹高裕

詩の題名を書かずに、黒板に次の詩を黙々と書いていった。

「はやくちうた」
　　　　　　　　川崎洋

ブリの群れのビリのブリ
このネコはこの子ネコの母ネコ
片目つぶるカタツムリ
なま肉なまハムなまラーメン
父さんトマトまとめて十買った
おでんと都電はぜんぜんちがう
塩焼きむし焼きつけ焼きすき焼き
寝ぞう悪い象もいれば寝ぞういい象もいる
親カモシカのあとから子カモシカ
だぢづでどのさかさはどでづぢだ

説明を何もしなくても、子どもたちは詩をどんどん読み始める。「むずかしい」「早口ことばになっている」という声が聞こえてくる。さて、一通り書いたところで、次のように尋ねた。

この詩の題名は何という題名だと思いますか。　

　・はやくちことば
　・はやくちのうた

この詩の題名が「はやくちうた」といい、作者は川崎洋さんであることを説明した。

「はやくちうた」を一行ずつ読みましょう。　

一行ずつ順番に読んでいった。早く読みなさいと言わなくても、自然と読みが早くなる。席が後ろの方の子は、立ち上がって読んでいた。一通り読んだところで、通しで読むことにした。

全員起立。はやくちうたを読みます。途中でつかえたり、間違えてしまったら、座りましょう。　

途中で座る子はほとんどなく全員が最後まで読んでいた。教室全体がだんだん興奮状態になる。後ろの席の子は、いつの間にか机の上に上がっている。こんどは、隣の席の子と二人一組にした。

隣の席の子と、二人一組になります。一人が読んでいる間、もう一人がちゃんと言えているかどうか聞いてください。途中で使えたり間違えたら、肩をぽんと叩きます。　

隣同士で頭を寄せ合あい、お互いの声を聞いていた。何とも楽しそうな表情をしている。つぎに、班ごと読むことにした。

こんどは班ごと読んでいきます。一人１行ずつ順番に読んでいきます。最後まで読み終わったら、元気よく「はい」って手を挙げてください。さあ、どの班が一番になるでしょうか。　

さあまたまたこれで大興奮。全員が机の上に登っている班があった。別に乗り上がらなくてもいいのにもうやる気満々であった。一番の班が決まったら、第２回戦は少しハンディをつけることにした。一番を取った班は、最初の題を２回繰り返すのである。勝てば勝つほど読む量は増えるという仕組みである。