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人類は滅びるか ３

〜答えの文はどこにあるか〜

森竹高裕

　前回の授業で、課題提示の文としてあげられたものは、次の３つである。

< 課題提示の文 >
　・１段落：人類は滅びるのだろうか
　・４段落：ではどういうときに、動物は滅亡への道を歩み始めるのだろうか
　・10段落：では、人間と環境の関係はどうだろうか

　今回は、これらの課題の答えの文がどこにあるかを探していった。

１段落：人類は滅びるのだろうか　の答えになる文はどこにあるだろうか

Ａ：13段落
　人類は滅びるかという問いに対して、今のところイエスともノーとも答えられない

Ｂ：13段落
　人類は滅びるかという問いに対して、今のところイエスともノーとも答えられない。結果は、人間が自分の弱点にどこまで目を向けるかで決まってくるだろう。はっきりとしているのは、人間が自分も動物の一種であることをしっかり自覚し、環境を守り続けようと決意するかどうかにかかっているという事だ。これなしには、人類は確実に滅びるであろう。

　答えの文を、Ａのみと考えるか、それとも後半のＢまでを含めて考えるかによって、答えが違ってくる。子どもたちは、こう考えた。

• 答えは、１段落にもあるんじゃないかな。 "地球がだめになれば、もちろん〜" の文がそれにあたると思う。
• 答えがあるのに、またその中に問題があるのは変じゃないか。だから、Ａまでだと思う。
• 13段落は、イエスかノーか答えられないと書いてあるのに、そのあと "人類は確実にほろびるであろう" と書いてあって、答えが二つあるみたいでおかしい。

　このあとの一斉学習で話し合った結果、13段落全部を入れたＢの方がいいのではということになった。それでも釈然としない子がいたので、もう少し考えてみることにした。

13段落全体を読むと、 "今のところイエスともノーとも答えられない" といったあとで、 "人類は確実にほろびるのだろう"と書いてあります。答えが二つあるみたいです。この答えで、いいのだろうか。

< これでいい >

• "これなしには" っていうのは、 "もし〜なかったら" という仮定や予想だから、今のところは、イエスでもノーでもないというのが答えになると思う。
• "これなしには" と書いてあるから、確実に滅びてしまうと言っているわけではない。
• "今のところ〜" っていうのが答えだよ。答えが２つあるのはおかしい。 "これなしには" と書いてある。
• これでいいのかな？これをしなかったら滅びるということだから、答えは２つでもいいような気もするし…。

　ある班では、「答えが３つあるよ」というので、この班の話し合いをとりあげてみることにした。

(1) イエスともノーとも、答えられない。
(2) 人間が自分も動物の一種であることをしっかり自覚し、〜決意するかどうかにかかっているということだ。
(3) 人類は確実にほろびるであろう。
という３つの答えが出ている班がありますが、この３つのうちどれが本当の答えになるのでしょう。

• (1)と(2)は、文を言い切っている。でも(3)は、 "〜だろう" になっているから違うと思う。
• (3)は "〜だろう" になっていて、これはこれから起こりそうなことを書いてあるから答えにはならない。

　このように、子どもたちは答えになる文の前後にある言葉に注目した。
　(1) 今のところ：今わかっていること
　(2) はっきりしているのは：わかっていること
　(3) これなしには：仮定をしている
　　　〜だろう：未来のことを予想している

　このような言葉に注目することで、(1) が最も適切だろうということになった。