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子どもたちの疑問や書き込みの中に「大工さんはどうして毎日わらぐつを買ってくれるのだろう？」というものがあった。そこで大工さんの視点でこの物語を考えてみることにした。
と問うと、
・よいわらぐつだから、みんなに勧めたいから。
というもののほかに
・おみつさんのことが好きだから。
という考えもあった。大工さんは、おみつさんにプロポーズをしているのでおみつさんを好きなのであるが、ではいつのときから好きになったのだろう。大工さんの気持ちの変化について、もう少し詳しく読み取ることにした。
子どもたちの読み取りは、２６段落〜３８段落と幅広く分かれた。つまり、２６段落：大工さんがわらぐつを買いに来る（声をかける）前〜３８段落：「おれの家に来てくんないか」とプロポーズしたときの間である。
この中には大工さんの気持ちを表す言葉がいくつもあるが、そのいつもとき、おみつさんを好きになったのであろう。子どもたちの考えと、そこに書かれている大工さんの気持ちは、
〈２７段落〉１人 “見せてくんない”
・おみつさんがいろいろな人にわらぐつを勧めているところくらいが好きになっていたと思う。わけは「あねちゃ、そのわらぐつ見せてくんない」と言って、縦にしたり横にしたりしている間に話す言葉を考えていて、色々話しかけているから。
〈２８段落〉３人 “たてにしたり横にしたり”“まじまじと見つめました”“しばらくながめてから”
・大工さんは丈夫で長持ちするわらぐつを作った心のとても優しい人だと思って「おまんが作ったのかね」と確かめて「はい」と答えたから好きになった。
〈３２段落〉１人 “あまりまたないうちに”“わらぐつくんない”
・「わらぐつくんない」というところで来たのが２回目で、何回もきた（あまりまたないうちに）ということは、好きだということだと思う。
〈３３段落〉８人 “この間もわらぐつを買ってくれたあのわかい大工さんです”
・不格好なのに２回目も買いに来たのは理由がある。
〈３４段落〉４人 “その次の市の日にも”
・その次の市の日にも来て、不格好なわらぐつでも買ってくれたから。
〈３５段落〉４人 “にっこりして”“おまんのわらぐつはとってもじょうぶだよ”
・にっこりして「おまんのわらぐつはとても丈夫だよ」とほめているから。
〈３６段落〉５人 “ちょっと赤くなりました”“いい仕事ってのは見かけできまるもんじゃない”
・大工さんはちょっと赤くなっているから。
・おみつさんに話しながら、赤くなっている。
〈３８段落〉１人 “見つめながら”“おれのうちへ来てくんないか”
・大工さんがプロポーズしているから。
それぞれの段落から一人ずつ考えを聞いて、大工さんの気持ちの表れている部分に青いサイドラインを引いた。
考えを大きく二つに分けて考えやすくした。すると文を手がかりに楽しい討論ができた。
〈０〜２回〉 １６人
〈３回以上〉２０人
３４、３５段落あたりをあげる子が多くいた。こうした討論の中で、後ろの方から前の方に考えを変えた子がいた。それは、
という考えが出された。最終的には〈０〜２回〉と考える子が多くなった。