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わらぐつの中の神様２

マサエにわらぐつの話をしたのはなぜか？

森竹高裕

　前回の授業で、自分の感じた「ひとことで言うとどんな感じの話か」を班の人と意見交換した。自分の感じた以外の感じ方もあることがわかった。

ほかの人の感じ方を聞いて思ったこと。　

　・みんな幸せな感じや不思議な感じを持っていてすごいな。あとみんな文などから答えを出していてすごい。
　・もうおみつさんも子どもじゃないから。お母さんやお父さんに頼ってばかりではなく、自分の力でやることはよいことだと思う。〈一生懸命な感じ〉を聞いて、みんなの意見を聞いて、誰の意見も合っていて間違えは何もないと思った。
　・いろいろな考えがあって、全てあっているんだなと思った。

　このように自分以外の感じ方であっても、共感することができた。
　次に、一の場面おばちゃんがマサエに、わらぐつの話をする場面を扱った。この場面で勉強してみたいこととしてよく出されていたのが「どうしておばちゃんはマサエにわらぐつの話をしたのだろうか」という疑問である。そこで、このことをみんなで考えてみることにした。

どうしておばちゃんは、なんだかんだ言っていたマサエに、わらぐつの話をしたのだろう。　

　スキー靴がぬれてしまっただの、わらぐつはかっこ悪いだの、マサエはなんだかんだと言っている。その様子を見ていたおばあちゃんが「わらぐつの中に神様がいなった話」をする気になったのである。
　このおばちゃんの気持ちについて考えてみるにした。子どもたちの最初の考えを読むと、大きく四つの考えがあった。

〈Ａ　わらぐつには神様がいることを信じてほしかったから〉
　・マサエはわらぐつの中の神様の話を信じなかったから。自分が経験した本当の話をすれば信じると思ったから、

〈Ｂ　わらぐつのよさを知ってほしかったから〉
　・わらぐつはめったにないから大切にしてほしい。

〈Ｃ　おじいちゃんとの出会いのことを知ってほしかったから〉
　・なぜ。おじいちゃんと結婚したのか教えてあげたかった。昔の自分のことをもっと知ってほしかった。

〈Ｄ　心をこめて作ることについて〉
　・この話をすれば、マサエも物の大切さがわかるだろうと思って話を始めた。

班ごとに考えを紹介しあおう。

　班ごとに考えを紹介しあって、自分とは違う考えが、どんなものかを知った。〈Ｃ〉と〈Ｄ〉については人数が少なく、同じ班にいない班もあるため「もう少し知りたい」という声があったので、全員の前で詳しく話してもらった。

「神様のこと（Ａ）、わらぐつのよさ（Ｂ）、出会いのこと（Ｃ）、心をこめること（Ｄ）の話を聞いて、これは全然違うというものはありましたか？」と尋ねると「ない」との返事。どれもおかしくない感じがする。

　そこで、この４つの気持ちがおばちゃんの心の中でどのくらいを占めているのか、円グラフを使って表してみることにした。

おばあちゃんは、Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの気持ちのうち、どの気持ちが一番強かっただろう。

〈Ａ　神様のこと〉
　・マサエは神様なんていないと思っているから、幸せの神様がいなさるよ、っていうことを一番知らせたかったと思う。
〈Ｂ　わらぐつのこと〉
　・「あったかい」「大きい」「あんまりはいている人がいない」など、わらぐつにはよさがあるからおばあちゃんは知ってほしかった。
〈Ｃ　出会いのこと〉
　・おばちゃんには「わしと、おじいちゃんの出会いなんじゃぞ。そして、わしとおじいちゃんを結んでくれたのがこのわらぐつなんじゃ」という気持ちがあるから。
〈Ｄ　心をこめること〉
　・神様もあるんだけど、神様はどこにも出てきていないし。心を込めて作ったものには、神が宿るということは「心」のことを言っている。