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一つの花 ２

ゆみ子はわがままな子か

森竹高裕

　ゆみ子の口癖は「一つだけちょうだい」である。何でもほしがるゆみ子はわがままな子かどうかについて考えた。

　ゆみ子はいつもおなかをすかしていたのでしょうか。ご飯の時でも、おやつの時でも「もっと。もっと」と言って、いくらでもほしがるのでした。
　するとゆみ子のお母さんは
「じゃあね、一つだけよ」
と言って、自分の分から一つ、ゆみ子にわけてくれるのでした。
「一つだけ･･･。一つだけ････」と、これがお母さんの口ぐせになってしまいました。
ゆみ子はしらずしらずのうちに、お母さんのこのくせを覚えてしまったのです。

さてこの文を読んだ後に、次のように尋ねた。

ゆみ子のことをどう思いますか？ゆみ子はどんな子でしょう？

　・何でもほしがっている
　・ゆみ子はわがままを言っている
という意見が出された。わがままという言葉に注目して、

ゆみ子はわがままな子でしょうか？

　子どもたちは全員が「ゆみ子はわがままだ」と考えた。その理由としてあげたのは
< ゆみ子はわがまま >

• 「もっと。もっと」と、いろんなものを食べたがっている
• ソマリアやベトナムの子は生きるのでやっとなのに悲しい
• 何でも「一つだけちょうだい」と言ってほしがっている

　このように話をしていると、そのうちに一人が「ぼく意見を変える」と意見を変えた。
< ゆみ子はわがままではない >

• 食べ物が少なくて、ちょっとしかないから、仕方なかった

ことをはなした。戦争中だったことや日本が貧しかったことをあげていくと、Ｔくんも考えを変えた。これで２対２の同数になった。話し合いの様子は
　
< ゆみ子はわがまま >　２人

• でもね、お母さんはやさしすぎると思う。自分をあげちゃうんだもの１つ
• 戦争でみんな逃げるのに必死だったし、みんな食べるものもガマンしていたんだと思うよ。
• それにね、サイレンだって鳴っていた。
• でもね、お母さんはゆみ子にもっと厳しくした方がいいと思う
• あまり甘やかすと、ゆみ子のためによくない。

< わがままではない >　２人

• まだ小さな子どもで、１才にもなっていないんだから、食べたかったんじゃないか
• そうそう、赤ちゃんはもっとほしがるし、かわいいから小さいときには甘やかすよ
• ゆみ子は小さいからがまんができないんだよ
• でもお母さんは、ゆみ子にもっと大きくなってほしいと、赤ちゃんに対しての思いやりだと思う。

と、なかなか白熱した話し合いになった。最後に、もっとお母さんは、ゆみ子に厳しくするべきだろうか、という問題が出てきた。