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ごんは穴の中で「ちょっ、あんないたずらしなけりゃよかった」と兵十に対する思いをめぐらせる。そしてごんは兵十に、いわし・栗・松たけ等を届けるようになる。子どもたちのノート見ていると「つぐなう」「おわび」「恩返し」という言葉が出ていた。似ているようで少し違うこれらの言葉について、意味を確かめた。
【つぐない】 …自分の犯した罪やあやまちを他のもので埋め合わせる。
間違ったこと 足りなかったところを補う
【わびる】 … 謝ること。ていねいに謝る。
【恩返し】 …恩を受けた人に対して、それに報いるころ
これらの言葉が少しごちゃごちゃしているようだ。「この中で明らかに違っているのはどれですか？」と尋ねると「恩返しは違う」という返事があった。この物語は恩返しではないことを確かめた。
さて、子どもたちの疑問の中に、ごんは、なぜ兵十のことばかり見ているのだろう というものがあった。多くの村人に悪事を働いたごんであるが、つぐないは兵十にだけしている。このことについて考えた。
と尋ねると大きく三つ場面があげられた。
〈あなの中〉62−65文
〈物置の後ろ〉72文
〈いわし屋〉79文
まずは自分の考えを書いた後に友だちタイムで意見交換をした。
〈あなの中〉62−65文 ２０人→２７人
・ごんはあなの中で「あんないたずらしなけりゃよかった」と考えたから。
・ごんはうなぎを逃してしまったことを反省しているから。
・ごんはあなの中で考えたから栗や松たけを持っていくようになった。
・あなの中でおわびをしようと思った。
〈物置の後ろ〉72文 １０人→５人
・72文で「おれと同じひとりぼっちの兵十か」と同じひとりぼっちだと思ったから。
〈いわし屋〉79文
・あなの中のごんは思っただけで、まだやっていない。79文で初めて「あげよう」と思っていわしをつかんでいる。
このようにそれぞれの意見を発表した。その後の話し合いの中で意見変更をする子が出てきたのだが、それはこの物語のテーマに迫るすばらしい発言であった。
・兵十もひとりぼっちでごんも同じようにひとりぼっちだったから。
・自分のしたことで、兵十をひとりぼっちにさせてしまったから。
・自分がひとりぼっちにさせてしまったと思っている。
・ごんは兵十のことを同じ仲間みたいだと思っているから。
・同じひとりぼっちの兵十だから兵十にだけ償いをしたんではないか。
ごんと兵十の共通するところは「ひとりぼっち」である。ただ、ごんは65文「わしがいたずらをした」からおっかあが死んでしまったのに違いない、と兵十の思いを一方的に大きくしていったのである。
．指導案