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エイズとじょうずにつき合うために１

森竹高裕

　小学校５・６年生でエイズについて学ぶ授業である。エイズについての基礎的な知識と、エイズの人とどのようにつき合っていったらよいかを考えさせたい。　

　第１時間目

みなさんは、エイズという言葉を聞いたことがありますか？ エイズについて知っていることを教えてください。

　子供たちは、テレビや新聞などから得た知識を発表する。
　　・恐い病気
　　・一度移ったら、もう助からない。死ぬしかない。
　　・大人のいやらしい人が移る病気。
　　
　エイズ＝「恐い」、「いやらしい人がなる病気」などの偏った認識を授業の中で変えていく。

エイズになるのは、大人ばかりではありません。赤ちゃんでもエイズになる子はいるのです。エイズになった赤ちゃんを抱くときに、看護婦さんは菌を寄せつけない手袋をします。なぜ手袋をするのでしょう？

　エイズになるのは「いやらしい大人」と思っていた子はここで「あれ？」と感じる。また、エイズ＝「恐い」と思っている子は当然のように
　
　・看護婦さんにエイズの菌が移らないように
　・自分の（看護婦さん）の身を守るために

　ここまでが、授業の最後で逆転現象を起こすための伏線である。
「今日は、みんなでエイズについて学習しましょうね」と次に進む。

どんな時にエイズに移ると思いますか？移ると思うものに○をつけましょう。

　いくつかのケースについて、○×をつける作業をさせた。予想させたケースは以下の通り。

　　　　　 エイズに移ると思うものに○をつけましょう

１．プール　　　　　 ６．同じ蚊に刺される　 11．ピアス
２．キスをする　　　 ７．一緒に食事をする 　12．ｺｲﾝﾗﾝﾄﾞﾘｰ
３．トイレ　　　　　 ８．本やﾉｰﾄを借りる 　 13．握手をする
４．一緒に風呂に入る ９．同じ石鹸　　　　　 14．同じ口紅を使う
５．献血から　　　　 10．とこやから

　「移る」、と予想されたものの中で多かったのは、次の５つである。
　　・キスをする
　　・献血から
　　・同じ蚊に刺される
　　・握手をする
　　・同じ口紅を使う
　
　しかし、この中にエイズに感染するケースは一つもない。「エイズに移るものは一つもありません」と告げると「えー？」という声があがった。　献血からの感染も現在では皆無である。

　そこで、どのような経路でエイズが感染するのかを考えた。

エイズの菌は、人間の体から出るあるものに潜んで、人から人へと移っていきます。人間の体から出るものには何がありますか？

　このように問うことによって、体外に出される分泌物に着目させた。中には分泌物とは呼びがたいものもある。が、「へ」が出されると「たいへん！誰かがおならをすると息を止めてなくちゃ！」という声があがり爆笑だった。

　
　　・なみだ　　　　　　・血　　　　　　・うんち
　　・息　　　　　　　　・鼻水　　　　　・おしっこ
　　・声　　　　　　　　・汗　　　　　　・へ（おなら）
　　・つば、たん　　　　・垢　　　　　　・性液　

エイズの菌はとても弱いので、空気中に出るとすぐに死んでしまうのです。エイズの菌（ＨＩＶウィルス）が生きていられるのは、血液と性液の中だけなのです。

　説明をした後に、先の発問３のいろいろなケースについて、血液と性液が関係しているかを確かめた。これらのケースについて血液と性液に関係しているのは、献血だけである。しかし、献血は十分な注意が払われているので献血による感染は考えられない。

血液と精液に関係しているものはありませんでしたね。このようにエイズは日常生活では、移らないのです。