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ニホンザルの駆除

きみならどうする？

森竹高裕

　人の暮らしとサルの命、どちらも大切にしなくてはいけないものである。しかし時にどうするべきなのか迷うことがある。現実に起こっている問題を取り上げ、子どもたちと考えてみることにした。まずはニホンザルの写真を見せて

このサルを知っているますか？（ニホンザル）天然記念物の意味を知っていますか？

　天然記念物の意味を知っている子がいたので説明をしてもらい、日本だけに住むとても珍しいサルで、国で保護していることを伝えた。

　次にこのニホンザルの被害に遭い苦渋の選択をした青森県下北半島にある村の実話を紹介した。サルの被害に会い続けた村は、もうこれ以上サルを見のがすことができず、駆除することを決める。悪戯をするサルの判別を動物写真家の松岡さんに頼むのだが、この依頼を受けた松岡さんはどうするべきか大変に迷うことになる。

　村の人たちも闇雲に駆除していようとするわけではない。これまで様々な努力（音で驚かせるしかけ）などしても、いっこうに減らないサルの被害に対して、駆除のルール（７歳以上のオスに限る）を決めているのである。こうした説明をしたあと

もしあなたが松岡さんだったら、サルの駆除に協力します か？

　子どもたちは「うーん」「むずかしい」と唸っている。それでもようやく自分の考えが決まり意見交換をした。

〈協力する〉１人→１０人

• サルを駆除するのはかわいそうだけれど、協力しないままだと人間も命がなくなってしまうかもしれない。野菜や家やお金がなくなってしまう。

〈協力しない〉３６人→２６人

• ニホンザルを動物園に入れればいいと思います。かわいそうだから。
• サルも生きているから協力したらかわいそう。
• サルも生きているし、死んだら命がなくなってしまうから。
• サルだってお母さんからもらった大切な命だから。人がいなくなればサルもいなくなる。

こうして両方の立場の意見が述べられた。

• このまま放っておくと野菜やお金がなくなって人が困ってしまうから。
• サルの命って言うけれど、私たちだってお母さんからもらった大事な命だから。

どちらが正しいわけではない。最終的に松岡さんは協力したことを伝えた。

授業の感想を書こう。

• サルを駆除するかしないかで私は迷いました。駆除するとサルは命がなくなってしまうけれど、人間のためにはしなくちゃいけないから〈協力する〉にしました。
• サルはサルとして生きていけばいい。自由にしてやればいい。
• サルがかわいそうだと思った。生き物を殺してまで農家を守るのはおかしい。

資料は【ＮＨＫデジタル教材】から作成しました。興味があるときにはご連絡ください。【ＮＨＫデジタル教材】には、写真など資料がそろっています。