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木の実とり
〜約束を守ること〜
森竹高裕
モラルジレンマを取り入れた授業をおこなった。約束を守ることとお母さんの誘いのどちらを優先させるのかを考えた。幼い子にとっては、身近に起こりうる問題である。
まず最初に資料を配ってと途中（約束して家に帰るところ）までを読み聞かせた。
りすくん、うさぎくんは、きつねくんなしで、木の実を取りに行けるだろうか？
< いけない >
・迷っちゃうかもしれない
・お母さんが心配する
りすくん、うさぎくんが、きつねくんの案内なしでは、木の実取りに行けないことを確認した。次に、りすくん・うさぎくんのこの時の気持ちを想像させた。
木の実取りに行くことになって、りすくん・うさぎくんの気持ちはどんな気持ちだろう？
・うれしい
・どきどきしている
・楽しみにしている
りすくんもうさぎくんも期待して楽しみにしていることをいることを捉えたあとに、資料の後半を配って読み聞かせた。きつねくんはお母さんから買い物にいくことを誘われるのである。
資料を読み終わったところで、メイン発問である。
きつねくんはこのあと、どうしたらいいと思いますか？
< 買い物に行く > １８人→１９人
・何か買ってもらえるから
・木の実とりは明日にすればいい。
・家の人がそういっているから。
・ウサギくんもお手伝いの日だから。
・そんな山の中の秘密の場所に行くのが分かれば、叱られる。
< 木の実とりに行く > １５人→１４人
・友達と約束をしたから。
・約束は守らないといけない。
・木の実とりの約束のほうが最初だから。
・自分から言い出したことだから
< 買い物に行く > < 木の実とりに行く > 両方の意見が出された。思ったよりも、< 買い物に行く > という意見が多かった。１年生はまだそれだけ、母親を頼っているのかな、と感じた。結論を出すことなく、授業はオープンエンドで終わった。
◆あらすじ
おいしい木の実のありかを知っているきつねくんが、りすくん、ウサギくんを木の実取りに誘った。この木の実は山の中の秘密の場所にあり、りすくん、ウサギくんはまだその場所を知らない。
知らない人が行けるような場所ではなく、行けば迷子になってしまうような所だ。ウサギくんはお手伝いの日になっていたけれども、面白そうだったので、いくことにした。「木の実を取りに行こう」と三人は約束をして家に帰る。
するときつねくんはお母さんから「買い物に一緒に行ってくれない？」と頼まれる。きつねくんが前からほしかった物も買ってくれるという。お母さんから頼まれたことは断りづらいものである。
そこできつねくんは友達と木の実を取りに行こうか、お母さんの言うことを聞いて買い物に行こうか迷ってしまう。
◆資料
木のみとり
きつねくんは，森の小学校の１年生。とてもげんきで そとであそぶのが だいすきです。
いつも いっしょにあそぶのは りすくんとうさぎくんです。３人は とてもなかよしで いっしょにあそぶのを とても たのしみにしています。
いつものように 学校のかえりみち きつねくんが りすくんに いいました。
「ねえ，きょうは ちょっと かわったことを やらないか」
「かわったこと？」
「し−っ あのね，うら山に おいしい木のみが いっぱいあるんだ。そこは，ぼくしか しらない ひみつの ばしょなんだけど，きみたちも いっしょに いかないか？」
「それは おもしろそうだね。でも，だいじょうぶかなあ。みちに まよったりしないかい？」
「うん，そうなんだ。しらないひとが いったら まよっちゃうと おもうよ。ぼくだって，はじめのころはみちが とちゅうで わからなくなってね，かえりが おそくなったりしたんだ。山の中って よるになるとほんとうに こわいんだよ。でも，もうだいじょうぶさ。あれから もう なんども とりに いっているからね」
「ふ−ん。そこには，あの おいしい 木のみが いっぱい あるんだね」
「もちろんさ。とっても，おいしいよ…。だから いこうよ」
「うん。わかったよ。なんだか わくわくしてきたよ。ねえ，うさぎくん」
「そうだね。おいしい 木のみを たくさん とって かえったら いえの人も びっくり するだろうな。
でも，きょうは おかあさんの てつだいを する日なんだけど…よし，なんとか あしたに してもらうよ。きつねくんたのむよ。ぼくも つれてってよ」と うさぎくんも いいました。
「まかせてくれよ。じゃあ かえったら いつもの こうえんに すぐ あつまろう」
三人は それぞれ じぶんの いえに かえりました。
「ただいまあ。おかあさん こうえんに いってくるからね」
「ちょっと，まって。おかあさんはこれからおかいものにいくんだけれど，あなたも いっしょに いってくれると たすかるんだけどなあ」
「え−っ，どうして？」
「あなたにはね，いもうとの せわを してほしいの。おかあさんも かいものが あってね，そんなときはゆっくりと みていられないでしょ。ほら，あなたの すきなものを かってあげるから…おかあさん、あなたに きてもらえると ほんとうに たすかるんだけどなあ。どうする？」
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