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夢追いかけて

河合純一さんのが一番伝えたかったこと

森竹高裕

ブラインド（盲目）スイマーの金メダリストで中学校の教師でもある河合純一さんの学習をした。河合純一さんの生き方から夢の大切さを知り、自分の将来を考えてほしいと願った。というのも以前にやったテストで「１０年後の自分は何をしているか想像しましょう」という問題があり○つけをしていて愕然としたのは、アルバイトやフリーターが１０名もいたということである。夢を持ってほしい、夢に向かって進んでほしいと強く思った。

まず河合さんの写真（教室で生徒に囲まれているところ、金メダルを首にかけているところ）で

この写真を見て何か気がつくことがありますか？

• 中学生が写っている
• 男の先生が真ん中に入る
• 優しそうな先生
• 生徒に人気がある
• 目が見えない
• 水泳で金メダルをとったみたい
• 前の人の肩に手を置いているから目が見えない
• 前、テレビでやっているところを見た
• 金メダルを首にしている

この人は河合純一さんといい、中学校の先生であること、目が見えないこと、パラリンピックで金メダルをとった人であることを伝えた後、資料を読み聞かせた。
そこには、中学３年生になって次第に目が見えなくなっていき、暗闇の中で失意のどん底に突き落とされたり、自暴自棄になりかけた純一少年の姿が描かれていた。

目が見えなくなっていくときの純一少年の気持ちがわかりますか？

• 目が見えていたのにだんだん見えなくなった
• 好きな水泳ができなくなってしまう。

このように夢はかなわなくなることの苦しさがでてきた。しかし河合さんは中学校の先生になり、パラリンピックで金メダルをとることができた。

河合さんがくじけてしまわなかったのはどうしてだと思いますか？

• 弟が元気づけてくれたから。
• 友達、水泳の人、生徒たち、親などいろいろな人が元気づけてくれた。
• 得意な水泳で頑張ったから。
• 水泳で励まされた。
• 今、やりたいことを大切にしたから。
• 頑張ったから。

このような考え方が出された。子どもたちが主にあげたのは、弟や水泳の人たと支えてくれた人たちのことだった。ここで二つ目の文章を読み聞かせた。ここで河合さんは

目が見えようが、見えまいが、夢を持ち続けることをあきらめるのが悔しかっただけだ。目が見えなくなっても見失うことがなかったのも、それは「夢」だった

と語っている。河合さんは夢を大切にしたことを確認してから

夢を持つことは、目が見えるとか見えないとかに関係があると思いますか？

〈夢は目が見えるとか見えないことには関係がない〉

• 夢はみんな持つ。河合さんはその夢に向かって走りつづけた。
• 夢は頭の中で考えることだけれど、夢は人の夢ではダメ。自分の夢でないとダメ。
• 夢は頭の中で想像することだから、誰にでもできる。

子どもたちにわかってほしかったのは、障害があるからすごいとか立派ということではなく、障害の有無にかかわらず夢を叶えたこと、その初志貫徹の素晴らしさに気づいてほしかったのである。

さてここで、１学期国語のテストでやった「１０年後の自分」という１０年後の自分を想像した資料を配った。１０名の子どもが「アルバイト」という夢を書いている。このプリントを配ると、とても興味深げに見入っていた。

今のあなたはどうですか？今のあなたはどれだけ夢に向かって進もうとしていますか？

• 夢は持っているだけではダメ。自分でも一生懸命やらないといけない。
• 河合さんはいっぱいいっぱい努力して夢がかなった。自分はちょっと怠けている。
• 河合さんは夢を持って大切にした。自分のいいところを見つけようとしている。
• 河合さんは大きな夢を持っていたけれど、私も漫画家になりたいという夢を持っている。夢の大きさを人と比べてたりしてはいけないと思う。
• 河合さんは夢が大きくて、その夢に向かっていった。自分はあまり…。

授業の感想を教えて下さい。（プリントに記入）

• 私も自分の夢を頑張りたいなと思いました。河合さんは目が見えないけれど、夢を捨てなかったからすごいと思いました。
• 河合さんは弟や生徒、家族がいたおかげで途中で目が見えなくなってもみんなに巡り会えたおかげで元気づけられた。だから目が見えなくても幸せだと思う。
• 河合さんは目の見えない人も見える人も夢の大きさは一緒、目が見えなくても憧れは誰にも負けたくないことを伝えたかったと思う。
• 障害は関係なく、夢をもっと大事にしようと思った。
• 河合さんは、自分の夢を捨てたらその夢はかなわない。それで私たちに、夢を捨てるな、っていう感じだった。
• 河合さんは目が見えなくなったりして落ち込んでしまった。でも河合さんはその落ち込んだ気持ちを勇気の心にした。だから河合さんの方が勇気が大きいと思っています。
• ぼくも夢をもち続けようと思った。

河合さんがいちばん伝えたいことは何だと思いますか？

• 夢を捨てないで向かえということ。
• 夢に向かってやり遂げる。
• 目が見える見えないが関係なく、夢に向かってがんばろう。
• 夢はあきらめたりしないということだと思います。
• 河合さんの夢や水泳のことをみんなに伝えたいと思った。
• 夢を捨てるな、あきらめるな。
• いくら障害を持っても、夢は見失わない。
• 夢に向かって歩き続けるということ。
• 夢をなくさない。
• 目が見えなくても見えても同じで、夢があるんだよということ。
• 夢は大事なもの。
• 夢に向かってずっとがんばれば何にでもなれるし、障害者も普通も関係ない。
• 夢は大事にしまっておくといい。
• 夢をあきらめないということ。

授業裏話　この授業をしたわけ

　一学期末「一つの花」の国語テストで「１０年後の自分は何をしていると思いますか？」という問題がありました。○つけをしていると「アルバイト」という答えがずいぶん多いのに気づきました。数えてみたら１０名。アルバイトをして母親のお金を頼って、毎日ぶらぶらしているかもしれない、と書いてあるのです。小学生ならもっと子どもらしい夢を持ってほしい、とそのとき強く思いました。夢がフリーターではあまり寂しいではありませんか。

　夏休みになり河合純一さんの講演を聞く機会がありました。河合さんは夢を持つことの大切を熱く語っていました。話を聞いていて大変感動し、このとき国語テストのことと河合さんの話が一つの線でつながりました。夢の大切さを子どもたちに伝えたい。

　夢の大切を子どもたちに伝えたい、そう思った私は、夏休み中に河合さんの本を３冊読みました。その著作の中で、河合さんは一貫して夢の大切さを語っていました。

　ここから教材化を始めていくのですが、なかなか形になりません。何度も授業計画を倒しました。河合さんが「必要な方はビデオ貸し出します」とおっしゃっていたので、思い切って勤務校に電話をしました。電話口での河合さんはとても気さくな方でした。

　話をする中で河合さんは「私のことは教材だと思って扱ってくれれば構いませんから」とおっしゃって下さいました。何度かのメールのやりとりの後、ようやく手もとにビデオが届きました。河合さんは目が見えませんからメールは音声変換して理解しているそうです。ビデオを返却する際、お礼を一言書こうとして「あっそうだ。河合さんは目が見えなかったんだ」と思い出し、急いで点字を打ちました。下手な点字できっとよく読めなかったことでしょう。

　授業のあと、子どもたちの書いたプリント（河合さんが一番伝えたかったことは何だったと思いますか？）を読むと、河合さんや私の伝えたいことが少しは伝わったのかなと感じます。今回、私自身もたくさんのことを学ぶことができました。