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道徳「ぼくのお姉さん」

ダウン症の姉を思いやる家族の話を通して、家族の愛情について考えました

見出し３　森竹高裕

「ぼくのお姉さん」（偕成社）という本にある同名の話を授業をした。話の概略はこうである。

ぼくは、父、母、姉の４人家族。姉は１７歳でダウン症だ。そのことで友達にからかわれることがある。ぼくは泣き出したい気持ちで唇をかんだ。ある日、レストランで食事をすると、お姉ちゃんが初めての給料でごちそうしてくれるという。お姉ちゃんは福祉作業所で朝９時から夕方４時半まで働いている。ぼくはお姉ちゃんがいくらもらったのか気になって封筒の中をこっそり見せてもらった。入っていたのは１０００円札が三枚あるだけ。ああやって１日中働いて１ケ月の給料がこれだけなのだ。お姉ちゃんは、ぼくらをしたがえて意気揚々とレジへ向かった。ぼくは慌ててお父さんの裾をつかんだが、父は黙ってぼくにウインクを送った。「毎度ありがとうございます。５２００円いただきます」お姉ちゃんは「あい」と勢いよく札を全部取り出して渡した。その手に握られていたのは、三枚の１万円札だった。

家族について授業をすることを話してから、こう尋ねた。

みんなの家は何人家族ですか？家族の人の顔を思い出してみましょう。家族のことで、誰かから悪口を言われたことがありますか？

クラスの一番の大家族は８人家族であった。家族の顔を思い出してみましょうというと、一瞬教室が静かになった。大切なその顔を思い浮かべてに違いない。悪口については

• 親戚の人に言われたことがある。でも、ぼくたち兄弟が喧嘩ばかりしていたから。

といったものがあげられた。次に資料を配って読み聞かせをした。話に引き込まれ集中して聞いているのが分かる。途中まで読んだところで

悔しかったぼくの気持ち、わかってあげられるかな？

• 障害は生まれつきだからしょうがない。悪口を言われたらかわいそう。
• 自分のお姉さんだから言われたらいやな気持ちなる。
• 生まれつきなんだし、その悪口を言われたらいやな気持ちになる。
• 家族は自分みたいなものだから、その悪口を言われたらいやだと思う。

ここで資料を最後まで読み聞かせた。お金をこっそり換えたのはお父さんであることを確かめた後で

お父さんがお金をこっそり換えたことについて賛成しますか、反対しますか？

多くの子が賛成という考えだった。

〈賛成〉

• お金が足りないと、お姉ちゃんがかわいそうだから。
• お姉さんががんばって働いてもらってきたお金だから。
• レジのところでお金が足りないと言われたらショックだから。
• お姉ちゃんの顔じゅうのいっぱいの笑顔がお金の足りないことで消えちゃうから。
• お姉ちゃんのもらったお金だし、悲しい顔をしてほしくないから。

賛成にしても反対にしても家族はみんなが大切にしていることを確かめてから

今の自分はどうですか？どれだけ深く家族のことを大切にしていますか？

と尋ねた。

• 私のお姉ちゃんは障害があるけれど、お姉ちゃんがいてよかったと思う。（どうしてそう考えたか理由はよくわからなかった。）
• 私の妹は小さいときに、心臓の手術をしているし、大切だと思っている。
• 私には弟がいないけれど、お兄ちゃんがいる。いつも喧嘩ばかりしているけれど優しくしてくれる。
• お母さんは、ぼくを産んでくれた。大切にしている。

産んでくれたから、喧嘩するけれど大切、といった考えが多かった。

授業の感想を書こう

• 私のお姉ちゃんとはいつも喧嘩をしているけれど、本当はやさしいお兄ちゃんです。私は家族はすごく大好きだから、一生好きでいたいです。
• いくら障害を持った人でもちゃんと働けるところがあるし、思いや考え思っているから普通の人間と差別してはいけないと思った。これからも家族を大切にしたい。
• ぼくは、お兄さんを大切にしています。（兄は養護学級）ケンカはするけれど、冒険ゲームなどをしてあげているからです。
• とても今日は感動しました。やっぱり家族は大切だなと思いました。私の友達にも少しうまくしゃべれない人がいるけれど、その人たちも何の不愉快もなく元気に過ごしているので、変なこと言われるのはいやだけれど、みんな力強く生きてるだと思いました。
• この勉強をしていろんなことが分かった。今までお兄ちゃんにいやなことをされたけれど、いなくなると寂しい。
• 私はお母さんに怒られて、お母さんをたたいて「お母さんなんか大嫌い」と叫んだけれど、二階で「どうしてあんなこと言ったんだろう」と思ったら涙が止まらなくて、下に行ったら「ごはんよ」とさっきのことは忘れるとみたいに言ってくれた。家族は大切にしたいです。

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