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自己主張できる子とは

      

森竹高裕


「自分の気持ちをちゃんと言える子にしよう」「自分のことは自分で言おうね」「自己主張しないとダメ」普段何気なく私たちは声をかけます。自己主張ってどんな意味なのか辞書を引いてみました。 "自己主張" では、広辞苑にも載っていなかったので、 "自己" と "主張" の両方に分けて調べてみました。  

【自己】自分自身
【主張】自分の意見を相手に認めさせようとして押し通すこと

辞書を引いてみようと思ったのは、最近「自己主張ってどういうことなのだろ?」と思うようになったからです。以前から「日本人は、自己主張ができない」と言うことを聞いています。だから「自己主張ができる子に」という願いも込めてやってきたのですが、どんなことが自己主張なのかわからなくなることがあるのです。

例えばこんなときです。体育の授業で「今日はマラソンをやるよ」と声をかけると「えー、イヤだ!」と何人もの子がはっきりと言います。ノートの書き方が雑なので、「もう一度書いてきて」(書き直し、とか 書き直せ、と言っているわけではありません)と指示すると「チッ」という舌打ち。

確かに「おもしろくない」という気持ちを表しているのですが、これが本当に自己主張というものなんだろうか?と思うのです。自分が嫌なこと都合の悪いことは「イヤだ」と拒絶し、好きなことは「やりたい、やりたい」と自分の都合を相手に認めさせようとすることが、私たちの育てたい自己主張なのでしょうか。

私はこう考えます。たとえ一人でも自分の考えをはっきりと言えること、相手の言い分も受け止めることができることが、自己主張だと考えます。集団にならなければ、意見を言えないのでは自己主張とは言えません。周りの人とたとえ考えが同じでなくても、「私は○○だから、こう思う」と言えなくてはいけないと思うのです。

また、自分の言い分と同じように相手にも言い分があり、それをわかってあげようとしなければいけません。そうでなければ、【主張】の意味通り、自分の考えを相手に認めさせようと押し通し、自分さえよければあとはどうでもいいということになってしまいます。

私自身は、自己主張ができるのでしょうか?こう考えると、ちょっと自信がありません。

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