森竹高裕
ニセ消防士がやってきた
授業が始まってすぐ
こう言い残して、大急ぎで隣の部屋に入り込んで着替えをした。私のいでたちは、ゴム長靴、雨ガッパ上下、自転車用ヘルメット、水まき用ホースである。 「やぁ広小の皆さんこんにちは」元気よく教室へ入っていくと、「あぁ、、森竹先生だ」「なんだ本物じゃない」という声が起こる。そんな声は無視しつつ、「森竹先生によく似ていると言われますが、私は消防署からきました。わからないことは何でも聞いて下さい」 みんな疑わしい人でこちらを見ている。 「今日来てくれた消防士さんは、本物ではないと思う人？」 「はーい」 と元気よく全員の手があがった。「どうして本物でないと思うのですか？」と聞くと、あそこがおかしい、ここがおかしいと口々に言い始めた。そこで
本物の消防士と比べて、どんなところがおかしいのか間違い探しをさせた。こんな活動子どもたちは大好きである。いくつ見つけられるかの目安を示した。 「０〜１個なら小学１年生、２〜３個なら２年生、３〜４個なら３年生、５〜６個なら４年生、６〜７個なら５年生、８〜９個なら６年生、１０個以上なら中学生です」 ・服装が違う ・ベルトをしていない ・ヘルメットが教科書と違う ・服が燃えてしまう服 ・手袋をしていない ・ボタンがついている ・ゴーグルをしていない ・ホースの太さが違う 以前使ったニセ消火器を再び持ち出して「そうかな、この消火器を持っていけばよく消えると思うけどな」とトボけてみたが「違うよ」とすぐに却下されてしまった。
２４００時間というのは多めであるが、全員が〈２４００時間よりも多い〉と予想した。 〈2000時間以下〉０人 〈2000〜3000時間〉０人 〈3000〜3500時間〉１人 〈3500〜4000時間〉２０人 〈4000〜4500時間〉１２人 〈4500〜5000時間〉３人
家の人が働いている時間の1/100の１ということにずいぶん驚いたようである。消防士さんは99/100は遊んでいるのだろうか？ しかし子どもたちはそうは考えなかった。 〈遊んでいるわけではない〉３５人 ・遊んでいるわけではなくて、パトロールや訓練をしていると思う。 ・２４時間態勢で起きていて、もし眠くなったら交替している。 ・遊んでいて通報が来ると困るから。 ・すぐに行けるように電話を待っている。 ・遊んでいてもし遅れてしまったら、消防士の資格がない。 ・トレーニングしていると思う。遊んでいて遅れたら、人が焼け死んじ ゃう。 ・一秒でもすばやくいけるようにしている。 このようにすばやく出動できるための準備をしているという意見が相次いだ。 |