発 問
・３億個の精子の中で、たった一つだけ受精できた精子はどんな精子だろう
→ 一番優秀、強い、早い、勇気がある
・一番優秀な精子だけが、卵子と受精できるのか？
逆転現象を狙った授業です。最初の発問で卵子に受精できるのはたった一つの
精子であることに気づかせ、どんな精子（人間にたとえるとどんな人か？）か
考えさせます。
一番優秀な精子というようなものが出てきますから、ビデオやマンガ（大人へ
の出発）を読ませたりＶＴＲ（驚異の小宇宙人体：ＮＨＫ）などを見せます。
そこで一番優秀な精子だけが、受精できるのか考えさせます。そうではなく、
自分はたまたまこの世に生まれこれたのだ。だからこの与えられた命を精一杯
生きようというところまで話し合いました。
ボクは養護学校の子どもたちが同じ授業をしたときの感想を読みました。養護
学校の子たちに教える直前まで「一番優秀な精子と卵子が受精できるんだ」と
信じて疑いませんでした。どの実践記録にもそう書いてある。しかし一番優秀
な精子と卵子でさえ、障害を持って生まれた子はどう考えたらいいのか、教え
たらいいのか悩みました。
最高の精子と卵子でさえも障害を持ってしまうのか、他の精子と卵子だったら
もっと状態が悪かったのだとはとても思えないのです。巡り合わせというか、
たまたま出逢った精子と卵子がこの命の始まりだったのだ、と考え直すように
なりました。
だからこそ、与えられた命を精一杯生きてほしいと願うのです。たとえどんな
自分であったとしても・・・。子どもたちは全員が「一番優秀な精子だけが受
精できたわけではないんじゃないか」と感じていました。「運がよかった」と
も。私よりずっとずっと命についてわかっていました。
今の自分を受け入れ自分のことを好きになってほしいと願っています。教育の
最後は祈りなんじゃないかと時々思います。
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