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６年 社会 私たちのくらしと政治文 １４ 〜選挙のしくみ〜 森竹 高裕 選挙の仕組みについて、シュミレーションを取り入れながら学習をおこなっ た。シュミレーションは実際に体験をしながら学んでいくので、説明だけの 授業よりも頭に入りやすいようである。まず、教科書を読みながら、選挙についての説明をおこなった。
説明をしたあと、ニセ選挙をすることにした。その流れは次のようなもので ある。
◆シュミレーションでの留意点 １．簡単にいうと友達同士が集まるってことです。 ２．好きな言葉をノートに書き出して、それを組み合わせれば 政党の名前ができます。日本国憲法前文の中から捜してもいいよ。 ３．私たちは、こんな日本にしたいという願いのことです。 ４．人数に差があるので、１人にするか２人にするかよく考えよう ５．他の政党（有権者）の人に、願いを話してきましょう。 脅されたり、何か物をもらったら申し出て下さい。選挙違反です。 ６．人に見せないように書く。他の政党に寝返る子も出てくる。 先生が選挙管理委員を務める。 ７．黒板に正の字を書いていく。最近は、こんな選挙をしていないので、 一票入るごとに「おーっ」とどよめきが起こる。 まず最初に同じ考えを持つ人が集まり集団をつくった。
・同じ考えの人ってわからないよ。 ・政治のことなんて考えたことがない。 子どもたちがこう言うのも、もっともな話である。「同じ考えを持つ人同 士」というのは、簡単に言うと、友達ってことです」とアドバイスすると、 いつもの仲間で集まった。実際もこんなところなのだろうか？メンバーが集 まったところで、政党名である。初めは駄洒落のような名前だったので、
決まった政党名と、政策は次のようなものだった。 ・自由党：差別をなくす。一人ひとりの活躍の場を作る。教室をきれいに する。本を広める。 ・英雄党：体の不自由な人の生きがいを作る。差別をなくす運動。 老人への気配りを増やす。景気回復への協力。 ・念願党：不自由な国をなくす。日本とかで要らないものを集めて不自由 な国に送る。 ・正政党：正しい選挙をする。今の汚れた政治を正しい政治にする。 誰もが平等に暮らしていける。 ・平等党：国民が差別なく暮らせるよう国民平等。なるべくリストラなし。 どの会社の同じ給料で、値段もアップする。 ・平和党：差別をしない。クラス全員で交流を深める。 どれも素敵な名前と政党である。次に立候補者を立てて選挙をすることにした。
選挙運動は、まさしく本物のように、ワーワーガヤガヤ賑やかしいものにな った。あちらこちらの街角で立会演説をしている。同じ政党の仲間は、一声 出すごとに「そうだ！」ぱちぱちとサクラ役を演じている。教師用の椅子を 使って、選挙カーにして遊説している政党もいた。「もしも選挙運動中に、 ○○をあげるからとか、入れないと殺すなどの脅しがあたら教えてください。 その候補者は落選になります」と罰則についても触れた。 どの有権者（子ども）も、選挙に興味を持って熱心に取り組んでいるのがす ばらしい。本当の選挙もこうあってほしいものである。立候補者が全員の前で公約を述べたあと、投票に移った。
ノートや教科書でついたてを作って必死で隠しながら書いていた。投票が済 んだところで開票である。教師が選挙管理委員になり、全員によく見えるよ う公開でおこなった。 「○○さん、一票」「おー！」「△△さん」パチパチパチ。最近の子どもた ちは、このような選挙に慣れていないので、票が入るごとにどよめきが起こ った。新鮮だったようである。 全ての開票が済んだところで、上位６人が当選したのだが、政党を作るとき の人数で当選、落選が決まった。数の論理がきっちりと働いていることも、 本当の政治とそっくりだった。 |