用意したのは上の図形である。子どもたちは「うーん」と考えながら作業を
始めた。いくつかのわけ方を紹介してもらった。
　・中央部に穴が開いているか（ＢＣＨ）
　・全体的に似ている形（ＫＧ）
　・斜め方向に伸びている（ＢＥ）
　・ばらばら（ＤＨＬ）
　・２個ずつつながっている（ＧＫ）
　・アルファベットのように見える（ＡＥ）

視点が多くなりすぎたので、

発問２ ＤＨＬはみんなが作らなかった形ですね。整った形と呼びますか？（呼びませんの声）みんなが作った整った形とＤＨＬのような形との決定的な違いは何ですか？

ＤＨＬの図形と比べることで、いくつか気がついた子がいた。
　・紙の小片を真ん中の方で集めているか、全体的にちらばして使っている
　　かで違う。
　・びっくりかえしても同じ形になっている。みんなが作った方は、Ｉ以外
　　はどれもひっくり返しても同じ形になる。
　・半分に折ってみると中心で重なっている。
　・折って重なるのがほとんどです。私はさっき整った形にはきまりがない
　　と思っていたけれど、何かきまりがあるかも知れないと思いました。

このように折ると重なる，回すともとと同じ形になるという視点が出てきた。
この２つが出てきたことによって，ＡとＤが問題になった。

発問３　ＡとＤは整った形の仲間にはいるのだろうか？

　・Ｄは折ると左右同じ形になる。Ａは折っても同じ形にならないから、整
　　った形の仲間に入らない。
　・Ｄは一つ一つの紙がくっついてはいないけど、折ると重なるし、ピラミ
　　ッドみたいな形だから整っている。
　・Ａは折ったら重ならないけれど、上から見ても下から見ても同じ形にな
　　っている
　・Ａはまとまっているとは思うけど、折ったときには重なっていない。
　　シャープペンとかおいて回転させるともとの形になります。

このように「整った形にはきまりがあるかどうか」を検討していく中で、い
くつかわかってきたことをまとめた。

・折ると重なる形がある。 ・回して、同じ形にあるものがある。

この視点で改めて図形を見直してみると、次のように分類された。
　折ると重なる：Ｄ、Ｉ
　回すと重なる：Ａ
　折っても回しても重なる：Ｂ、Ｃ、Ｅ、Ｆ、Ｇ、Ｊ、Ｋ
　重なることはない：Ｈ、Ｌ

説明１ みんなが作った整った形には、ほとんどが折っても回しても重なる形ですね。はじめは人が整ったと思う形にきまりがないと思っていましたが、こうして見ていくときまりがあるんですね。折ると重なるものを線対称、回すと重なるものを点対称と呼びます。

授業後の感想
・整った形・かっこいい形には、きまりはないと思っていました。ところが、
　線対称や点対称というのが出てきて、きまりがあるのではないかと思うよ
　うになりました。身の回りの他にもそんな形があると思います。国会議事
　堂だって線対称でかっこいいと思うのです。自分の考えと違うことを知り、
　おどろきとうれしさがあります。
・今まで勉強してきて、きまりはないと思ってきたけど、線対称、点対称な
　どを知って、ぼくはきまりはあったんだとつぶやきました。これからも
　「これはこうだったんだ！」というくらいいろんなことを知りたい。
・私は今まで気持ちにきまりなんかないと思っていました。だってかっこい
　いと思うのは自分の勝手だからです。でもみんなの作ったのを見て、あれ
　はこうだ、これはこうだと話し合っていくうちに、きまりはあると思いま
　した。
・ぼくは最初、整った形にはきまりはないと思っていました。ぼくはかっこ
　いい形ならどんな形でもいいと思ったからです。でもだんだん勉強してい
　くうちに、線対称というのが出てきてから変わりました。線対称は左右が
　同じ形だからです。だから整った形は、左右が同じだと思いました。
・今まで見てきた形は、きれいとか何か変とかだったけど「折る」「回す」
　なんて言葉は思わなかった。だから「何で思わなかったんだろう」と不思
　議に思う。これからは形を見つけたら、何かやってみたいです。
・気持ちにはきまりは半分くらいだと思う。それは私がこれがかわいいとい
　えばそうかなあと言う人もいるからです。それに人気があっても私はその
　人がきらい・好きなのがあるからです。
・私は整った形、かっこいいと思う気持ちにはきまりはないと思う。だって
　人との感じ方も違う、考えることも違うからこう思わなければいけない、
　ああいうふうに考えなければいけないなんてきまりはないと思います。