６年　　　算数

　　　比例・反比例 ８ 〜反比例のものはどれか〜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 森竹　高裕

前回の授業で「一方が増えるともう一方が減っていく」という話を考えた。

発問１　「一方が増えるともう一方が減っていく」という反比例の話 　　　　は、どんなものがありましたか？

　・ＴＶゲームをすればするほど、視力が落ちる。
　・鉛筆を使えば使うほど、芯が減る。
　・パンを食べれば、パンの残りの量が減る。
　・電気を使えば使うほど、お金も増える。
　・消しゴムを使えば使うほど、消しゴムの量が減る。
　・授業時間が増えれば、休み時間が減る。
　・たき火をすればするほど、木が減る。
　・ケンカをすればするほど、血が減る。
　・牛肉を食えば食うほど、牛が減る。
　・本を読めば読むほど、残りのページ数が減る。
　・デジモン（ゲーム）をやればやるほど、電池が減る。
　・ＴＶを見る時間を長くするほど、寝る時間が減る。
　・水をこぼせばこぼすほど、コップの中の水の量は減る。
　・汗の量が増えれば増えるほど、体重が減る。

このようにたくさん、反比例のお話が出された。そこでそれぞれを検討して
いくことにした。

発問２　この中で、反比例でないものはあるでしょうか？おかしいもの 　　　　があったら教えてください。

< 電気を使えば使うほど、お金も増える >
　・電気を使えば使うほどお金も増える、は比例だと思います。使えば使う
　　ほど増えていくのは反比例ではないと思う。

クラスの子たちに「どうですか？」と問うと、全員が納得した。これを考え
た子も比例であることに気づいた。次に検討されたのが、汗の量の話だった。

< 汗の量が増えれば増えるほど、体重が減る　>
　・汗が出るほど体重が減る、は反比例ではないと思う。体重が１０kgも　
　２０kgも減ることはないから、これは反比例ではない。
　・汗の話は、比例でもないし反比例でもないから、中性。どちらでもない
　　と思う。
　・汗はいつも同じ量だけ出るわけじゃないから、反比例ではない。
　・反比例のときのことを考えると、表のように、上の数と下の数をかける
　　と２４になっていた。でも汗の表では、上の数×下の数が、同じ数にな
　　らないので違うと思う。

　　　　お手玉を、同じ数ずつ分けるときの、もらう子どもの人数

この、上の数×下の数の意見には、「おぉー」という感嘆の声があがった。
前時の授業の内容をいかしている。この汗の話を考えた子もこれで納得でき
たようである。

　・これは比例でも反比例でもどちらでもない。体重×汗の量では、２９，
　　５６，８１のように同じ数になっていないからです。

このように検討が続き、おかしいと指摘されたものは、次のものだった。
　< パンを食べれば、パンの残りの量が減る >
　< ケンカをすればするほど、血が減る >
　< 牛肉を食えば食うほど、牛が減る >

そのうちにこんな発見があり、そのまま発問になってしまった。

みんな、重大発表、重大発表。Ｙくんと考えたんだけど、ここ 発問３　にあるほとんどの話は反比例ではないと思います。どれも 　　　　（上の数）＋（下の数）＝（決まった数）　になっていて、 　　　　かけると決まった数にはなっていません。どうですか？

「えー！？」というどよめきが起こった。黒板いっぱいに埋まっている反比
例のお話が全部ダメだというのである。一斉にザワザワと相談が始まった。

「自分の話を調べてみて」と声が飛ぶ。黒板の前で検討していくと、次々に
お話のところに×印がついていった。よく勉強ができると思われている子が、
自信たっぷりに発言した。

　・ぼくのはいいと思うんですけど、聞いてください。「全部で１００円持
　　っています。１個２０円のお菓子を買っていく」という話は、反比例に
　　なります。

「表にしてみて」とすぐに声がかかる。そこで表にあらわしてみた。

　　　　　　１００円持っていって、１個２０円のお菓子を買う

このように表に書いていったのだが、途中で「あれ？」を連発。これではダ
メであることに気づいたようである。すると

　・図のように、全体があって残りがどのくらいかを考えると、これは反比
　　例にならないのだと思います。全体＝使った量＋残った量　のようなと
　　きは、反比例にはなりません。

「ああ、そうかあ」という声が聞こてきた。