|
５年 理科 てこのはたらき１ 先生の車を指一本で持ち上げよう
森竹 高裕 「てこのはたらき」の単元で学習するおもな内容は、「てこを使い力の加わる位置や大きさを変えて、てこの仕組みや働きを調べる」ことである。
導入は、絶対できそうなことが絶対できないことに驚きや関心を持たせる実験をおこなった。
子どもたちに聞くと「そんなもの、簡単だよ」と元気な返事が返ってきた。用意した椅子は家庭科室の軽い丸椅子である。（１段階）（２段階）（３段階）とも「かんたん。かんたん」と軽々と持ち上げて見せた。中には頭の上間で持ち上げてくれる子もいた。
しかし（４段階）になってみると、子どもの様子が変わってきた。「エーッ！そんなのできないよ」という声があちこちから聞こえてきた。どうやっても椅子が持ち上がらないのである。できそうなのにできなくて、不思議がっている。
次は、絶対にできそうもないのに、絶対できることに挑戦した。
「また先生のことだから、なんかあるに違いない････」と思ったのか
＜ できる ＞ と予想した子が半分ほどいた。そこで、力の強そうな子を４〜５人選んで車を持ち上げさせてみた。しかしどんなにがんばっても、持ち上がるはずがない。
・絶対無理だよ。上がるはずがない。 という声が聞こえた。それもそのはず、車は１ｔもあるのだから。
・てこを使えばいいんじゃないの？ という意見が出されたので、「あっ、こんなところに鉄の棒が」と白々しく角鋼（切り口が四角の鋼棒：４ｍ）を持ち出した。（切り口が丸い丸鋼では、重さに耐えきれず曲がってしまう）子どもたちはニヤニヤしながらこの様子を見ていた。
ここでいよいよ、てこの登場である。手順としては、
・丸太をもっと、車の方にずらしたらいいんじゃないの。 ・違うよ、もっと遠くの方に動かすんだよ。
車のまわりに集まってきてワイワイと子どもたちは、いろんなことを言う。そこで、支点の位置を動かすことにした。
教師が角鋼を持ち上げている間に、丸太を奥に蹴りこませる。（40cmぐらいまで）この時点で、かなり車は傾いているが、お構いなしにもう一度、指一本で挑戦させる。すると、力の弱い子でも、人差し指一本で、１ｔの車が見事に持ち上がってしまうのである。
この実験をするにあたっては、車の「後輪」を「サイド」から持ち上げるのがミソになっている。全部ではエンジンがある分重くなる。そこで、比較的軽い後輪の部分を横から持ち上げることによって、より軽く、大きく持ち上げることができる。これでも子どもたちは大満足だった。
子どもたちに、１ｍ前後の棒と支点になるコンクリートを渡し、いろいろなものを動かしてみた。子どもたちが挑戦したものは、次のようなものであった。
＜ サッカーゴール ＞ ＜ ローラー ＞ ＜ 防球ネット ＞ ＜ 朝礼台 ＞ ・５〜６人の子どもたちで、ローラーを動かそうとした。始めは、一人二人でやっていたが、全然動かなかった。そのうちに人が集まりだし、ワッセワッセと、棒を持ち上げた。すると、ローラーは見事にころがったのである。
・３人の子どもたちは、大きなサッカーゴールを動かした。ゴールの下に穴を掘りこんで、支点をしっかり決めて持ち上げると、30〜40cmほど持ち上がった。
・女の子の２人組は、防球ネットを軽々と持ち上げた。あっと言う間に、軽々と高くまで持ち上げた。 |