６年　　国語

　　　野の馬 ５　〜緑の線の向こう側とこちら側にあるもの〜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 森竹　高裕

父ちゃんと太郎のどちらに賛成するかを考える中で、父ちゃんの屏風に対す
る気持ち、太郎の屏風（馬）に対する気持ちが見えてきた。父ちゃんと太郎
の気持ちの違いについて、浮き立たせることにした。

太郎と父ちゃんは同じものを見ていると言えますか。もし違う 発問１　なら、太郎は何を見ているのでしょう。また父ちゃんは何を見 　　　　ているのでしょう。

これにはすぐに気づいたようである。
　・太郎は馬、父ちゃんは屏風を見ている。

太郎も父ちゃんも同じものを見ているが、その見ている先が少し違うことを
押さえた。次に太郎と父ちゃんはどんな世界にいるのか、太郎の世界と父ち
ゃんの世界について考えることにした。

こうやってみると、太郎の気持ち、父ちゃんの気持ちがいろい 　　　　ろと出てきましたね。また、太郎が見ているものと父ちゃんが 発問２　見ているものは違いがありますね。ひとことで言うと太郎は　 　　　　（　　）の世界で、父ちゃんは（　　）の世界と言えるでしょ 　　　　うか。

太郎の世界、父ちゃんの世界を一言で言い表すのは難しいかな、と考えてい
たが、下の表（太郎と父ちゃんの言動を抜き出す）を作ることにより思って
いたよりもスラスラと（　　）の世界が出された。

< 太郎の世界 >
　・夢の世界　　　　　　・空想の世界
　・自分の世界　　　　　・よさを見つける世界

< 父ちゃんの世界 >
　・現実の世界　　　　　・夢がない世界　　　　　　・価値の世界
　・自慢の世界　　　　　・プレミア（お宝）の世界

< 太郎 >　　　　　　　　　　　　　< 父ちゃん >　　　　　　　　　　
　(２)：一目で気に入った　　　　　　(２)：家宝、先祖代々、年に一度
　(７)：半日ほども　　　　　　　　　(８)：子どもにわかるかよ　　　
　(16)：忘れられなかった　　　　　　(８)：外へ出て、友達と〜　　　
　(20)：一日中動かなかった　　　　　(14)：奥へしまい込んだ　　　　
　(23)：悲しかった　　　　　　　　　(31)：ばかもん　　　　　　　　
　(25)：一息に太い線　　　　　　　　(31)：でっかいげんこつ　　　　
　(30)：思わず手を伸ばして　　　　　(32)：ご先祖様のばち　　　　　
　(34)：あの馬にいいことをして　　　(32)：ばつとして　　　　　　　
　(56)：生きているのだ　　　　　　　　・：金目あてみたい　　　　　
　　　・馬に命を与えた　　　　　　　　・物としてしか見ていない　　

太郎は夢の世界、父ちゃんは現実の世界と言えそうである。この夢の世界、
現実の世界を分けているのは何であろう。

発問３　太郎の夢の世界、父ちゃんの現実の世界を分けているものは何 　　　　でしょう。文中の言葉から探しましょう。

少し発問が唐突だったのか、子どもたちは答えにくいようであった。「ヒン
トだよ」と言って黒板にチョークで緑の線を引いた。これでもまだわからず、
キョトンとしていた。「ほら黒板に答えが書いてあるよ。目をよーく、開い
て、開いて」「えー？どこ、書いていないよ」という声が続いた。

難しいようだったので、教師が解説をした。「答えは緑の太い線でした。こ
の緑の線が、太郎の夢の世界、父ちゃんの現実の世界を分けていると言えま
せんか」と話すと「なんだ、だまされた」「ずるい」など何とも和やかな雰
囲気に包まれた。次に

指示１　物語に出てくる人や物を全て抜き出して、緑の線の向こう側（ 　　　　夢の世界）とこちら側（現実の世界）に分けましょう。

この物語には、たくさんの人や物が出てくるが、それらのほとんどが夢の世
界と現実の世界に分けることができる。下のようにまとめることができた。
夢と現実を行き来できるのは太郎だけである。（クレヨンも太郎の見方、父
ちゃんの見方の違いによって両方の世界に存在する）ここがこの作品を理解
するポイントになりそうである。

< 夢の世界 >
　・馬　　　　　・馬のたてがみ　　・頬にかかる風
　・草の海　　　・馬の鼻息　　　　・草原　　　　　・地平線
< 現実の世界 >
　・恵子ちゃん　・びょうぶ　　　・倉　　　　　・でっかいげんこつ
　・山道　　　　・花祭り　　　　・父ちゃん　　・晩めしぬき
　・月の光　　　・太い緑の線
< 両方の世界 >
　・太郎　　　　・クレヨン（緑の地平線⇔太い緑の線）