６年　　国語

　　　野の馬 １　〜作品のキーセンテンスを探す〜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 森竹　高裕

「野の馬」はファンタジー教材であるが、父親から自立しようという少年の
揺れ動く心が描かれている。屏風に描かれた馬が実際に生きた馬となって人
の乗せて走ることなど起こり得ることではない。しかし、太郎の側に立って
読み進めていくうちに、それは不思議ではあっても十分納得できる、いやそ
れ以上に「やった！」という感動をともなった結果として受け止めることが
できる。

この教材の感動は、太郎自らの手で自由な世界を獲得するところにある。太
郎の手によって屏風に引かれた太い " 緑の線 " は、自由や父親からの独立
を象徴していると考えられる。思春期を迎えた子どもたちに、自由や独立に
ついて、考えさせたい。

さて授業では、物語を一通り読んだあとで、気になる文をあげていくことに
した。気になる文とは、一通り読んだときに、心に残った文や「あれっ」と
印象に残った文のことをさしている。

発問１　「野の馬」で気になる文を短く書き出そう。

"みるみるうちに草原の向こうに消えていった"
　・太郎と馬はどこへ行ったのか？
"太郎はこのびょうぶを見て、一目で気に入ってしまった"
　・なんで一目で気に入ったのか
"こんな白一色の背景の中に置いておくのは、いかにも悲しかった"
　・なぜ太郎は悲しいのか？
"馬の後ろに一息に太い線を引いた"
　・太郎はなぜ線を引いたのか
"年に一度の花祭りのときにしかかざらない"
　・お父さんの宝物なら、ずっと飾っておけばいいと思う。
"（よかった！）"
　・馬のたてがみが揺れはじめて、太郎は何がよかったのか。
"走ってみるみるうちに、草原の向こうに消えてしまった"
　・この馬と太郎はどこへ行ってしまったのか
"さあさあ、外に出て友達と遊んで来るんだ"
　・友達が引っ越しているのはわかっているはずなのに、なぜ父は「友達と
　　遊んで来るんだ」と言ったのか
"太郎は馬のことが忘れられなかった"
　・なんで太郎は馬のことが忘れられなかったのか
"あとには太郎が力いっぱい引いた緑色のクレヨンだけが残っていた"
　・このあと太郎はどうなったか
"誰も倉へやってきてくれなかった"
　・太郎は誰か倉へ来てほしかったのか
"けれど太郎は決して振り向かなかった"
　・なぜ太郎は父ちゃんに会おうとしなかったのか（振り返らなかったか）

このように気になる文をあげていくと、作品中の重要だと思われるキーセン
テンスが浮かび上がってくる。以降このキーセンテンスを中心に学習を組み
立てていくことにする。