６年　　国語

　　　川とノリオ１　〜川は登場人物か？〜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 森竹　高裕

川とノリオは戦争文学である。幼いノリオはいつも川で遊んでいた。父は戦
地で、母は原爆で亡くしてしまった。一人で生きていくために変わっていか
なければならないノリオ、一方ずっと変わらず流れ続ける川。こんな対比が
この作品からは読みとれる。まず作品を一通り読んだところで、第一次感想を書かせた。一部を抜粋。

発問１　「川とノリオ」を読んで、思ったことや勉強してみたいことを 　　　　書きましょう。

　・戦争時代の悲しい話だったです。今の時代に生まれたぼくたちは幸せだ
　　と思いました。
　・最後の方の「母ちゃん帰れよう」というところでノリオの気持ちが伝わ
　　ってきました。
　・タカオがお父さんと一緒に自転車に乗っていたときにはいいなって思っ
　　たと思います。
　・ノリオが防空壕の中にいるときには、退屈だったと思います。ノリオに
　　とって川が唯一の友達だったからです。父さんも母さんも死んでしまっ
　　て、それでも川で遊ぶノリオは悲しすぎると思いました。

断章１「前書き」のところを読んで、数人の子から同じつぶやきが聞こえた。
それは、「何で川の音ではなくて、川の声と書いたあるのかな？」そこでこ
のことを考えてみることにした。

発問２　「川とノリオ」に出てくる川は、登場人物ですか？

< 登場人物である >　< 登場人物ではない > 両方の意見が見られた。登場人物ではないと考えた子の方が多かった。

< 登場人物である >
　・登場人物というのは人のことで、川は人ではないから。
　・川はただの場所のことをあらわしている。

< 登場人物ではない >
　・川が出てくる場面が多い。川が「おいで、おいで」と言っているから
　・挿し絵を見ると、いつも川の絵が描いてある。（おーっ、という声）
　・川の音ではなくて川の声って書いてある。何か川が人みたいな感じ。
　・川もノリオと同じように出てくる回数が多いから。
　・川とノリオではノリオが主人公。川は次に出番が多い。川がノリオの成
　　長を見守っていて、何か淋しい感じがする。

しだいに川も登場人物と考える子が多くなっていった。登場人物について少し教師から説明をした。

登場人物は何も人に限ったものではありません。お話の中に出 説明１　てきて、気持ちや様子が書かれているものについては登場人物 　　　　といいます。「川とノリオ」でも、川がまるで人のように書か 　　　　れているところがありますね。だから登場人物と言えます。

他にもこんな人間以外のものが登場人物になっているお話があるか考えさせ
てみると、次の３つがあげられた。

　・うさぎとかめ
　・サルカニ合戦
　・桃太郎の鬼、犬、サル、キジ