|
２年 道徳
ひとりとおおぜい
森竹 高裕
「ひとりとおおぜい」という学習をした。集団生活はときにうっとうしいものである。自分の思いが通るときばかりではない。集団でいる故にトラブルが起こることも多い。集団でいることの良さを再確認する授業をおこなった。
まず最初に、今の自分たちは好きなことが何でもできるのか尋ねた。
発問１ 今、みんなは自分のしたいことややりたいことが好きなだけできま
すか。思ったようにやれないことがあったら教えてください。
|
・いつまでも遊べない。夕方は遊んではためといわれる
・「ピアノをやめたい」で言ってもお母さんがダメっていう。
・夕方ランニングをやりたいっていうとダメって言われる。
・プールに入りたいでけれど入れない。
・ゲームを一時間以上やじゃだめといわれる
このように生活の中には思うようにできなくて不満に思っていることがいろいろ出された。つぎに「ひとりとおおぜい」の資料前半部を配り、読みさせた。
発問２ 自分一人だったらどんないいことがあるでしょうね
|
プリントに書く時間をとってから、やってみたいこと・してみたいことを発表させた。思いもよらないようなことをやってみたいという意見も出てきて面白かった。聞いていて「子どもはこんなことをやってみたいのだな」と感じた。
・好きなゲーム買い放題 ・ゲームやり放題
・ちょろＱを５０こほしい。 ・ゾイド買い放題、ケーキ食べ放題
・十数飲み放題 ・動物がかえる
・昼食をたくさん食べられる
”○○し放題”というものが多く出された。思う存分やってみたいことがいろいろあるのだろう。いろいろ聞いたところで資料の続きを配った。読み聞かせをすると子どもたちはよく話を聞いていた。話が終わったところで
発問３ あなたは「ひとり」と「おおぜい」のどちらがいいですか
|
プリントの（ひとり・おおぜい）のどちらかに○をつけ理由も考えさせた。それぞれ自分の考えを書いた後、話し合った。 < ひとり > と考えた方が一人もいない。全員が < おおぜい > と考えた。
< おおぜい > ２７人
・カードかっても交換する人がいない。
・ひとりだと何もできない
・友達がいないと寂しくなる。
・ミニ四駆の競争ができない。
・おおぜいの方がにぎやかだから。
・友達がいないと話ができない。
・ひとりだと楽しくない。
・ひとりだとしゃべりたいとき、話ができない。
・カードの交換ができない。
・みんながいると楽しく遊べる。
えっ、おかしいじゃん。さっき、自分一人だったらいろいろいいことが
発問４ あったじゃん。ひとりの方が好きなことができていいんじゃないです
か。
|
子どもたちを揺さぶってみた。やりたいことがあるのに集団でいるから「できない」という現実。もし自分一人だけだったらこんなことができるという願望。そんな夢を子どもたちは確かに持っている。でも < ひとり > か< おおぜいか > と問われたらやっぱり < おおぜい > の人と考えた。じつはこの話には続きがあることを知らせた。
発問５
やっぱりだめだぼくだけが
たったひとりの子どもでは、
何千 何万 何十万
いたほうがいいんだ（ ）
いたほうがいいんだ（ ）
（ ）の中にはどんな言葉が入るでしょう。
|
・絶対
・やっぱり
・みんな
などが出された。最後に「世界にパーレただ一人」（偕成社）を読みさせた。世界で自分一人だったら、という日本である。子どもたちはじっと聞き入っていた。
◆資料「ひとりとおおぜい」
「ひとりとおおぜい」 小林純一
もし 世の 中で ぼくだけが
たった 一人の 子どもなら、
おとぎ話の 王子より、
もっと だいじに されるだろう。
キャラメルなんか 一日に、
千も 二千も 食べられて、
ほしい おもちゃは 山のよう。
いじめっ子なんか もちろん いやしない。
みちを あるけば どの人も
「やあ、ぼっちゃん」と だいかんげい。
ぼくは いちいち 手をあげて
「ごきげんいかが」と こたえよう。
だが、まて、もしも、ぼくだけが、
たったひとりの子どもでは、
学校へ いって先生が、
「わかった ものは」といったとき、
「はい、はい」って 手を あげたって
さすのは ぼくに きまってる。
ひとりじゃ やきゅうも やれぬから、
ヒットを とばす こともない。
百メートルきょうそう やったって、
トップと ビリが おんなじだ。
せっかく できた 子ども会、
だれと ぎろん したら いい。
なかよしの あの 子も いなくって
（やはり）さみしい ひとりぼっち
＊＊＊
やっぱりだめだ、ぼくだけが
たったひとりの子どもでは。
何千、何万、何十万、
いたほうがいいんだ（ ）
いた方がいいんだ（ ）
|